解決志向アプローチ

5年後、どうなっていたいと考える?


「富条さんは5年後、自分がどうなっていたいと考えていますか。この紙に書いてみてください」

ニート等の若者を支援する施設「地域若者サポートステーション」(サポステ)に通っていた頃、キャリアカウンセラーとの面接で、こんなことを言われたことがあります。これに対して、私は戸惑いながら次のように答えました。

「私は5年後、正規の仕事に就いて、その後も離職することなく安定した職業生活を送ることができればと思っています。ですが、私は長期引きこもりを経験し、この年齢にまでなってしまいました。私が今さら正規の仕事に就くのは難しいだろうと思います。これは書かない方がよいのだろうかとも思うのですが……」

ところが、キャリアカウンセラーは構わないから書けとおっしゃいます。そこで、その通りに書いてみたのでした。それにしても、なぜこんな質問をキャリアカウンセラーはしたのだろうか、こんな実現可能性が低そうな将来を書いて意味があるのだろうかと、私には不思議に思いました。

解決志向アプローチ


それが先日、ひょんなことから、これはもしや「解決志向アプローチ」だったのではないかという、一つの解釈を持つに至りました。

↓ 目白大学の黒沢幸子教授による解説です。PDF。2.92MB。母子保健指導者養成研修会ホームページ内の資料。
◇ 解決志向型アプローチ (新しいウィンドウで開く

※ PDFを閲覧するには Adobe Reader が必要です。こちら新しいウィンドウで開く)からダウンロードできます。

このキャリアカウンセラーが行ったのは、「ミラクル・クエスチョン」や「タイムマシン・クエスチョン」の変形だったのかもしれません。つまり、もし私が眠っている間に奇跡が起きたら明日どういう一日になっているか。あるいは、タイムマシンに乗って5年後の未来の自分を見たら自分は何をしているか。それを、形を変えて問うたのかもしれません。

こういう質問方法だけでなく、このキャリアカウンセラーは、私が抱える問題やその原因よりも、たとえ小さなことでも、これまでに私ができたことに注目する方でした。これは、解決志向アプローチの基本的考え方に通じるものがあります。

つまり、私が望む未来イメージに向かって目標を設定し、私ができたことや、できることに焦点を当てて解決を図るわけです。

サポステの支援期間は、原則6ヶ月でした(当時の話です。現在は知りません)。解決志向アプローチは短期間で解決に持っていく「ブリーフセラピー」と呼ばれるものだそうで、短期間でしか支援が行えないサポステには合っていたのかもしれません。

そういえば、あの質問から何年経ったのでしょう。そして、現在の私は……?

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幼女に声を掛けようかと思ったが……

暗い中、一人で長距離を歩く3~4歳の子


帰宅途中、夜の7時になろうかという時間でした。ふと気付いたら、3~4歳ぐらいの女の子が一人で歩いていました。この子の歩く方向は私の帰り道と同じで、私より先を早足気味で歩いていました。この近辺には子供も多いので、そんなに珍しい光景ではないかもしれません。

ですが、この子はいつまでも一人で歩き続けていました。3~4歳の子にしては結構な距離です。終いには、大通りまで一人で横断してしまいました(私も方向が同じだったので、横断しました)。

あんな小さな子が長い距離を、しかも間もなく夜7時になろうかという暗い時間帯に、大人の同伴もなしに一人で歩き続けているのは少し妙ではないかと思い始めました(この話は少し前の出来事で、当時の夜7時は少し暗かったです)。

もしかすると、親にはぐれて迷子になった可能性もあると私は思うようになりました。

迷子?


ですが、確証はなく、思い過ごしかもしれませんでした。もし本当に迷子なら、不安になって泣いたり、道が分からないようなそぶりを見せたりするように思われました。実際、私が小学生の頃、このあたりで迷子になり、泣いて泣いて、通りがかりのおじさんに声を掛けてもらって助かったことを今でも覚えています(情けない……)。ですが、その子は、どこか目指す先があるかのように、ほぼ迷うことなく直線的に早足で歩き続けていました。

ですが、本当に迷子だったら問題です。そこで、声を掛けてみようかと思いました。ですが、このご時世、見知らぬ子に声などなかなか掛けられません。おまけに、私は定職に就いていないといっていいオッサンです。こんな私が、夜道で幼女に声掛けという構図は、客観的に考えてどうだろうと思いました。

私が迷っている間に、その子はあるチェーン店の駐車場に入り、そのあたりで私はその子を見失いました。さらに追おうと思えば追えたようにも思えるのですが、そこまでのことはしませんでした。私の帰り道とは方向が違いましたし、見知らぬ子にそう付きまとうものではありません。それに、あのお店には人が多く集まっていたので、一人で夜道を歩くよりは安全だろうと思ったのでした。

これでよかったのだろうと思っています。それにしても、あの子は何だったのでしょう。

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サポステ事業の変遷

サポステの目標や志向性の変遷


ニート等の若者を支援する全国施設「地域若者サポートステーション」(サポステ)の変遷を整理した研究論文を見つけました。

↓ 「つくばリポジトリ」へのリンクです。PDF。1.21MB。
小山田建太 (2017). 社会資源としての地域若者サポートステーションの検討-事業の変遷に見るワークフェアの理念-. 筑波大学教育学系論集. 41(2), 63-75.
新しいウィンドウで開く

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サポステ事業の実施要綱から、その目標や志向性の変遷に注目しています。こうした変遷には「ワークフェア」の様相が顕在化しつつあると著者は指摘しています。

ワークフェアとは、「社会から排除された人々に対し、教育や訓練を通じて雇用可能性や社会参加可能性を高めることで、包摂を図ろうとする政策理念」のことだそうです(仁平, 2015, p176)。ワークフェアというと、教育や訓練を受ければ給付を行なうものというのが私の理解ですが、サポステは給付までは行なっていません。

変わるサポステ


「まとめと考察」に見える著者の主張には賛否もあるかもしれませんが、サポステの移り変わりが分かる論文で、勉強になります。現在のサポステが目指すところは、私が通っていた頃とはやはり違っているようです。

今は、雇用保険被保険者資格を取得し得る就職者数が目標とされています。昔は進学や職業訓練、もっと短期の労働も目標に含めていました。

「生活保護リスクの未然防止」「自立支援」


論文によると、サポステの2015年度(平成27年度)実施要綱には「これら若年無業者等の就労を支援することは、(中略)将来生活保護に陥るリスクを未然に防止し、経済的に自立させ……」とあるそうです。なるほど、ワークフェア的かもしれません。独自に調べたところ、私が確認できた範囲では最も新しい2016年度版も同様でした(平成28年度地域若者サポートステーション事業実施要綱, n.d.)。

「生活保護リスクの未然防止」「自立支援」といえば、2015年度に始まった生活困窮者自立支援制度も、まさにそうです。生活困窮者自立支援制度は引きこもり者も対象に含めています。これもワークフェアなのか、それとも「アクティベーション」なのかは分からないのですが、上のサポステの話と通じるものがあるようにも思えます。

↓ 「ワークフェア」と似た概念に「アクティベーション」があります。以下のリンクでは、その違いが明快に説明されています。社会福祉士の方のブログへのリンクです。
◇ ワークフェア/アクティベーション (新しいウィンドウで開く

関連ページ


↓ 厚生労働省ホームページへのリンク。PDF。1.86MB。
◇ 生活困窮者自立支援制度について (新しいウィンドウで開く

文献


◇ 仁平典宏 (2015). 〈教育〉化する社会保障と社会的排除. 教育社会学研究. 96, 175-196.
◇ 平成28年度地域若者サポートステーション事業実施要綱 (n.d.). http://kanagawa-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0116/4674/201683194718.pdf 最終アクセス2017年5月12日.

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