ニートとは何か

ニートとはそもそも何なのでしょうか。

これについては、2007年に書いた記事「ニートとは何か」の中でまとめたのですが、ブログ開設10周年を機に書き直してみたいと思います。なお、ここでお話しするのは日本におけるニートの定義です。

ニートは Not in Education, Employment or Training の略


ニート、NEET は Not in Education, Employment or Training の略です。直訳すると、「教育、雇用、職業訓練の、いずれにも参加していない人」といったところで、文字通りこれがニートの原義です。

その語の由来は、英国の政府機関である社会的排除防止局が作成した1999年の調査報告書 Bridging the Gapです(Social Exclusion Unit, 1999)。

「15歳~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者」


厚生労働省「労働経済の分析(労働経済白書)」や内閣府「子ども・若者白書」は、ニートに近い概念として「若年無業者」を、15歳~34歳の非労働力人口のうち家事も通学もしていない者として定義づけ、その人口を推計しています(厚生労働省、2015; 内閣府、2015)。この若年無業者の定義は、ニートの定義として引用されることが多いです。[注]

非労働力人口とは、15歳以上人口のうち、就業者(月末1週間に少しでも仕事をした者)と完全失業者(仕事をしておらず、仕事があればすぐ就くことができる者で、仕事を探す活動をしていた者)を除いた者です。

↓ 非労働力人口、就業者、完全失業者について。
◇ 統計局ホームページ「就業者、完全失業者とは、どのような状態にある人のことですか?」 (新しいウィンドウで開く

なお、若年無業者(ニート)人口の推計は、総務省統計局「労働力調査」をもとに行なわれます。同調査の「基礎調査票」の質問「月末1週間(ただし12月は20~26日)に仕事をしたかどうかの別」において、「仕事を少しもしなかった人のうち その他(高齢者など)」と答えた15~34歳の者が、若年無業者(ニート)として扱われます。

↓ 基礎調査票を見ることができます。
◇ 統計局ホームページ/労働力調査の調査事項 (新しいウィンドウで開く

働く意思のあるなしは無関係、病気・けがの者も含む?


よくニートというと、働く意思がない若者のことという言い方がされることがありますが、上の定義は、意思のあるなしは問題としていません。就業や求職といった状態にない場合、このように扱われます。よく政府が委託するニート支援施設が、「働きたいけど、自信がなくて一歩踏み出せない」若者を支援対象としているなどという言い方をしますが、こうした若者も含まれます。

求職活動をしていた者は多くの場合、完全失業者に含まれ、ニートとしては扱われません。ちなみに、海外では完全失業者も NEET に含めることが多く、これは日本のニート定義の特徴と言えます。また、家事手伝いをする無職の未婚女性については、上の定義ではニートとしては扱われません。

驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、病気・けがのため働いていない者も、上の定義ではニートに含まれます。実際、若年無業者に非求職理由を尋ねたところ、「病気・けがのため」という回答が最も多かったという調査結果があります(内閣府、2015)。また、学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている者も含まれ、実際そう回答した者も多いです(内閣府、2015)。

このように、ニート(若年無業者)は働いている者、職探しをしている者を除いた残余の概念なので、実際のところ様々な人が含まれます。その概念に疑問を呈する声もあるかもしれません。

世間一般でいうニート、若者支援で対象とされるニートは……


ただ、世間一般でいうニートや、若者支援で対象とされるニートには、こうした者はふつう除外されるでしょう。世間一般でいうニートは、働く気がない無職の若者、若者支援で対象とされるニートは、働く意思はあるけれども一歩踏み出せない、あるいはどうすればよいか分からない若者といったところだろうと思います。


この定義とは別に、内閣府による、就業構造基本調査をもとにした定義もあります。未婚の家事手伝いを行なう女性も含めた定義です。ですが、これは現在引用されることが少なくなりました。内閣府による若年無業者(ニート)の定義については、2007年に書いた「ニートとは何か」をご覧ください。

◇ ニートとは何か(2007年) (新しいウィンドウで開く

文献


◇ Social Exclusion Unit (1999). Bridging the Gap - New Opportunities for 16 –18 year olds not in Education, Employment or Training. http://dera.ioe.ac.uk/15119/2/bridging-the-gap.pdf
◇ 厚生労働省(2015)「平成27年版労働経済の分析-労働生産性と雇用・労働問題への対応-」http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/15/dl/15-1-1_02.pdf#14
◇ 内閣府(2015)「平成27年版 子ども・若者白書」http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h27honpen/b1_04_02.html

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ニートとは何か

[目次]

■ ニートは Not in Education, Employment or Training の略
■ 玄田有史、曲沼美恵両氏によるニートの定義
■ 通俗的なニートの定義
■ 政府によるニートの定義

* * * * * * * * * *

■ ニートは Not in Education, Employment or Training の略

ニート、NEET は Not in Education, Employment or Training の略です。直訳すれば、「教育、雇用、職業訓練の、いずれにも参加していない人」といったところでしょうか。

ニートは、イギリスから輸入された言葉です。イギリスでは特に16~18歳の若者の問題として扱われていますが[1]、日本でもニートは若者の問題と捉えられています。なお、若年層だけでなく中年層にも無業者が増えているという報告もあるのですが[2]、あまり問題にされることはありません。

■ 玄田有史、曲沼美恵両氏によるニートの定義

「ニート」という言葉が広く知られるようになったきっかけは、玄田有史、曲沼美恵両氏の著書『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』がベストセラーになったことです。そこで、まず同書の中での定義を見てみましょう。

仕事によって自分の未来を切り開いていくことに希望を持てない若者が、25歳未満に限ってみても、40万人は、いる。社会の入り口で立ち止まってしまったそんな若者を、私たちは「ニート」と呼ぶ。

ニートは働こうとしていないし、学校にも通っていない。仕事につくための専門的な訓練も受けていない。[3]

この著書の中でなされているニートの定義で特徴的なのは、「希望」です。「仕事についていないだけでなく、仕事につこうとする希望すら失ってしまった無業者の若者が膨大にいる」、[4]「就職にも進学にも希望を失った人々」。[5]この本の中で玄田氏が書いた内容にはこういう表現が数多く出てきます。

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