引きこもりにも関係する研究に、1億円の助成

引きこもりに関する研究としては、最大規模の科研費交付額


引きこもりに関係する研究の中には、およそ1億円の科研費が交付されたものもあります。科研費事業は、文部科学省および日本学術振興会による研究費助成事業です。

その、およそ1億円の科研費が交付された研究がこれです。

↓ 科学研究費助成事業データベース「KAKEN」へのリンクです。国立情報学研究所のサービスです。
◇ 神経グリア発達によるモチベーションの形成とその破綻・修復機構の解明 (新しいウィンドウで開く

引きこもりそのものの研究ではありませんが、引きこもりにも関わるもので、キーワードに「社会的ひきこもり」が挙げられています。

研究代表者である精神科医の加藤隆弘九州大学特任准教授は引きこもりの経験がある方で、引きこもりの研究にも携わっています。最近では「社会的ひきこもりの長期化打開のためのエビデンスに基づく家族向け教育支援モデルの構築」という別の研究で代表者を務めています。また、引きこもりのことで海外メディアの取材を受けたり、引きこもりのドキュメンタリー映画に出演されたりもしています。

やる気のメカニズムの解明


さて、その研究内容ですが、専門的で私にはよく分からないものの、意志動力学(ウィルダイナミクス)というやる気のメカニズムを解明する新しい学術領域の研究の一部のようです。

↓ 「WILLDYNAMICS」ホームページ、加藤准教授の研究グループの紹介ページです。研究内容の概説もあります。
◇ 加藤班 (新しいウィンドウで開く

上のページには、「実際の『モチベーション』障害を来している人を対象としたトランスレーショナル研究アプローチで解明してゆく」とありますが、この「『モチベーション』障害を来たしている人」には、やはり引きこもり者も含まれるのでしょうか。

なんだか引きこもりの原因の一つは、本人のやる気の無さと言われているようです。上のページの説明は、英文では "Although pathophisiology of these syndromes has not been well clarified, we hypothesize that..." と書かれており、このあたりはあくまで仮説ともとれます("hypothesize"は「仮説を立てる」という意味です)。

ちょっと抵抗を感じないこともないのですが、どちらにしろ、多額の科研費が交付されていますし、あの加藤准教授の研究ですから、気になります。

関連記事


加藤准教授が海外メディアに取り上げられた時の、このブログの記事です。

◇ The Wall Street Journal に、日本の引きこもりの記事 (新しいウィンドウで開く
◇ 米MTVのニュース記事に、日本の引きこもり (新しいウィンドウで開く
◇ 豪州の公共放送、日本の引きこもりを取り上げる (新しいウィンドウで開く

関連ページ


加藤准教授が海外ドキュメンタリー映画に出演した時の記事です。

↓ 「秒刊SUNDAY」へのリンクです。
◇ ついに「引きこもり」が映画化!引き篭もりなのに脚光を浴びる (新しいウィンドウで開く

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ウクライナ、ポルトガルの引きこもり

またヨーロッパの学会誌に、引きこもりの研究が掲載されていました。今回は、日本の引きこもりでありません。

↓ ScienceDirect というサイトへのリンクです。
◇ Frankova, I. (2017). Does hikikomori exist in Ukraine?. European Psychiatry, 41, Supplement, S228. http://dx.doi.org/10.1016/j.eurpsy.2017.01.2230 (新しいウィンドウで開く

ウクライナの引きこもりです。論文全文を読むことはできなかったのですが、概要を読む限り、26名の引きこもり者を集めたようです。この種の研究では、1人や少人数を対象とした事例研究をよく見かけるのですが、今回はまとまった人数であることに注目したいです。ウクライナにも引きこもり者がいるのでしょうか。

この論文での引きこもりの定義は、日本のものとほぼ同じです。また、被験者の診断結果を見る限り、統合失調症の症状による引きこもりは全く、あるいはあまり含まれていません(日本でも含めません)。

引きこもり者の65.4%に少なくとも1つの精神医学的診断がついたそうですが、その内訳が気になりました。特に、発達障害が少ないことに注意が向きました。

↓ これも ScienceDirect というサイトへのリンクです。
◇  Macedo, P., Pimenta, V., Alves, M., San Roman Uria, A., and Salgado, H. (2017). Hikikomori goes global: A Portuguese case. European Psychiatry, 41, Supplement, S514. http://dx.doi.org/10.1016/j.eurpsy.2017.01.670 (新しいウィンドウで開く

上と同じ学会誌ですが、こちらはポルトガルの事例。ポルトガルで引きこもりの報告は初とか。22歳男性の事例だそうです。

引きこもりはこれまでにも、海外で似た事例が報告されています。

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日光に当たらずビタミンD不足、低カルシウム血症に

ヨーロッパの学会誌に、日本の引きこもりの事例が掲載されているのを見つけました。著者も、日本の研究グループです。

↓ 掲載誌ウェブページへのリンクです。
◇ Miyakoshi, T., Satoh, M., Nomura, F., Hashimoto, T., and Aizawa, T. (2017). A case of hypocalcaemia due to vitamin d deficiency in ‘hikikomori’ syndrome. European Journal of Case Reports in Internal Medicine. Advance online publication. http://dx.doi.org/10.12890/2017_000634
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全文読んでみたのですが、専門用語が多く、難しい……。ですが、ビタミンD欠乏による低カルシウム血症の事例であることは読み取れました。そしてそれは、引きこもり生活により、日光に当たっていなかったからではないかと。

↓ 低カルシウム血症の解説です。
◇ 低カルシウム血症 - 国際医療研究センターリウマチ膠原病科
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引きこもり者でこのような症例の報告は、初めてだそうです。こうした例が引きこもり者一般に多いのかどうかは、調査研究が行なわれていないそうで、はっきり分かりません。

ですが、引きこもり生活を送っていると、そうしたことは起こりやすそうな話ではあります。当事者としては注意した方がよさそうです。といっても、どう注意すればよいのか……。ただ、これから夏に入り、日差しが強くなっていくので、当面はそのリスクは低くなるかもしれません。この事例では、症状が現れたのは冬でした。

なお、私自身は低カルシウム血症の症状が現れたことはありません(と自覚しています)。私がこれまで会ってきた引きこもりの人の間でも、そうした話は聞いたことがありません。もっとも、私自身も、私が会ってきた人も、引きこもりといってもある程度外出します。今回の事例のように約1年日光に当たらずに過ごしたとか、そうしたことはありません。

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