人の近況を尋ねることについて
こうした経験は私だけではないようで、以前、ひきこもりデイケアで知り合った友人も、昔の同級生から電話をもらったときに近況を尋ねられて、辛かったと話していました。
このため、近頃の私は、相手がニート、ひきこもりであるかどうかに関わらず、一般に人に近況を尋ねるのは慎重にした方がよいのではないかなどと考えるようになりました。「最近、どうしてる?」と聞いたものの、その相手は実は失業していたり、何らかの挫折をしていたりして、そういう質問を歓迎しない可能性があるからです。
これを、ニート、ひきこもり生活を通じて、不本意な境遇に置かれている人の気持ちに配慮できるようになったと肯定的に受け止めればいいのか[注] 、それとも世間では通用しないおかしな理屈を身につけてしまったと否定的に受け止めればいいのか。
[注] もっとも、次のような非難の声も聞こえてきそうです。「俺は社会の中で必死に頑張って、それにもかかわらず、不本意な境遇に置かれているのだ。最初からひきこもって何もしようとしない無気力なお前と一緒にするな」
続・世界各国の男性の労働力率(労働参加率)
労働力率(労働参加率)は、15歳以上人口のうち、働いている人と、完全失業者の数(労働力人口)を、15歳以上人口で割ったものです。
仮に日本の労働力率が60%だとしたら、残りの40%の人は無業で、しかも職探しをしていないか、仕事があってもすぐには就けない状態にあることになります。そうした人たちは老後に入って年金生活をしていたり、通学をしていたり、家事をしていたりするかもしれません。ニートやひきこもりの人もいるでしょう。
今回は、この前の記事「世界各国の男性の労働力率(労働参加率)」に続いて、世界各国の25〜54歳男性の労働力率(2006年現在)を年齢階級別に調べてみました。
ただ、困ったことに、労働力人口の定義には、軍人や聖職者などの扱い等で、国によって違いがあるそうです。ですから、厳密な比較が難しいです。
また、統計が十分に揃っていない国も多いです。特にアフリカ諸国の状況は、ほとんど分かりません。
以上の留保が必要ですが、少し乱暴ながら、今回は 25〜54歳男性の労働力率を比較してみます。表には、各地域の代表的な国や特徴のある国を載せています。
表 15〜54歳男性の労働力率(2006年)
| 年齢階級 | 日本 | 韓国 | タイ | 豪国 | WG | 独国 | 露国 | BU |
| 25-29 | 93.9 | 78.9 | 93.6 | 89.2 | 87.0 | 86.3 | 91.1 | 83.3 |
| 30-34 | 96.5 | 92.9 | 97.0 | 90.6 | 91.8 | 95.2 | 92.5 | 88.0 |
| 35-39 | 96.7 | 94.7 | 96.9 | 90.3 | 92.6 | 96.3 | 92.5 | 87.8 |
| 40-44 | 97.0 | 94.5 | 96.7 | 89.6 | 91.5 | 95.8 | 97.0 | 87.4 |
| 45-49 | 96.9 | 93.1 | 89.2 | 87.7 | 94.3 | 89.0 | 84.1 | |
| 50-54 | 95.7 | 89.7 | -- | 86.1 | 80.8 | 91.2 | 84.8 | 79.2 |
WG:ヨルダン川西岸とガザ地区 BU:ブルガリア
| 年齢階級 | 米国 | メキシコ | AR | キューバ | エチオピア |
| 25-29 | 90.6 | 94.6 | 91.1 | 77.5 | 91.5 |
| 30-34 | 92.9 | 96.1 | 96.6 | 84.9 | 97.2 |
| 35-39 | 92.9 | 96.7 | 97.7 | 87.9 | 96.8 |
| 40-44 | 91.2 | 96.7 | 96.3 | 91.3 | 95.5 |
| 45-49 | 89.8 | 95.4 | 95.3 | 95.0 | 96.6 |
| 50-54 | 86.1 | 92.5 | 92.6 | 97.1 | 95.8 |
AR:アルゼンチン
資料:ILO ウェブサイト
http://laborsta.ilo.org/
(最終アクセス2008年5月21日)より作成。
ILO ウェブサイトで公表されている統計をよく見てみると、25〜54歳男性の労働力率が高い国は、タイ(表)、インドネシア、シンガポール、パキスタン、チェコ、マルタ、パナマ、エクアドル、ウルグアイ等です(順不同)。ざっと見たところ、アジアや南米に多いです。また、日本(表)も比較的高いです。
逆に、労働力率が低い国は、オーストラリア(表)、イスラエル、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア(表)、クロアチア、リトアニア、プエルトリコ等です(順不同)。ざっと見たところ、旧共産圏の国に目立ちます。
労働力率は、働かなくてもある程度生きていけそうな先進国は低くて、逆に途上国は高そうにも一見思えます。しかし、ILO の数字をざっと見る限りは、特にそうした傾向を見出すことはできません。
過去の失敗を突然思い出す
私が参加しているひきこもりデイケアでの失敗などは、わりとよく思い出します。そうした失敗の大部分は、コミュニケーション上の失敗です。しかし、それよりもっと以前の、大学時代、高校時代、さらには中学、小学校時代の失敗まで思い出すことも珍しくありません。
不思議なことに、家での失敗を思い出すことはほとんどと言っていいほどありません。特に最近はひきこもりゆえ、家で生活している時間が圧倒的に多く、失敗の数もそれだけ多いのですが、思い出すことは滅多にありません。
過去の失敗を思い出すのは、あまり気持ちのいいことではありません。迷惑をかけた相手に申し訳ない気持ちになったり、「どうしてあのようなことをしてしまったのだろう」と恥ずかしい気分になったりしてしまいます。
過去の失敗はもう変えようがありません。できることと言えば、こうした失敗を二度としないように、思い出すたびに自分に戒めることぐらいです。特に最近のひきこもりデイケアでのコミュニケーション上の失敗は、自宅で完全にひきこもっていたらできないことなので、自分はデイケアを通じてコミュニケーションを勉強していると思うことにしています。
ニート、ひきこもりの兄弟姉妹にかける迷惑
ニート、ひきこもりの人が迷惑をかけているのは、何も親だけではないでしょう。兄弟姉妹にも迷惑が及んでいる場合もあるだろうと思います。
私が知る例では、ニート、ひきこもりの人の多くは親に経済的に依存していますが(私もその一人です)、中には、兄弟姉妹に依存している人もいました。現在は親に依存している人も、将来親が亡くなると、兄弟姉妹に依存することになるかもしれません。
* * * * * * * * * *
私が気になるのは、ニート、ひきこもりの人がいると、その兄弟姉妹の結婚や就職といった人生の重要な場面に、何らかの影響が出てくるのではないかということです。
最近の東京都の調査によると、ひきこもり者の年齢で最も多かった層は、30〜34歳(44%)です。[注] 年齢からして、兄弟姉妹で結婚を意識している人は少なくないでしょう。しかし、結婚を意識して交際している異性に対して、自分の兄弟姉妹にニート、ひきこもりがいると打ち明けることができるでしょうか。もし打ち明けたら、結婚は破談にはならないでしょうか。破談にはならないまでも、結婚の障害にはならないでしょうか。もしかしたら、最初から異性との交際に消極的になってしまう兄弟姉妹もいるかもしれません。
採用の際に家族構成を聞く企業はまだあるようで、私の知っているところでも、家族全員の氏名、年齢や勤務先までこと細かく伝えるように要求する例がありました(この1〜2年ほどの話です)。兄弟姉妹に無職の人間がいると正直に答えると、内定を得るのにマイナスになる可能性もないとも言い切れません。かといって「家族については答えられません」などと答えると、「家族に、何か後ろ暗いところがあるのではないか」と勘繰られかねません。
[注] 東京都「ひきこもりの実態調査結果について 実態調査からみるひきこもる若者のこころ」、2008年5月、
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/
2008/05/DATA/60i5e100.pdf
(最終アクセス2008年5月23日)
世界各国の男性の労働力率(労働参加率)

労働力率(労働参加率)は、15歳以上人口のうち、働いている人と、完全失業者の数(労働力人口)を、15歳以上人口で割ったものです。
仮に日本の労働力率が60%だとしたら、残りの40%の人は無業で、しかも職探しをしていないか、仕事があってもすぐには就けない状態にあることになります。そうした人たちは老後に入って年金生活をしていたり、通学をしていたり、家事をしていたりするかもしれません。ニートやひきこもりの人もいるでしょう。
今回は、この前の記事「低下する男性の労働力率(労働参加率)」に続いて、OECD 加盟国の25〜54歳男性の労働力率を調べてみました。
表 25〜54歳男性の労働力率
| 年次 | 日本 | 韓国 | 米国 | 英国 | 独国 |
| 1970 | 97.3 | ---- | 95.8 | ---- | 97.2 |
| 1975 | 97.4 | ---- | 94.4 | ---- | 95.5 |
| 1980 | 97.0 | 95.6 | 94.2 | ---- | 94.7 |
| 1985 | 96.7 | 93.5 | 93.9 | 95.4 | 93.5 |
| 1990 | 97.5 | 94.6 | 93.4 | 94.8 | 90.2 |
| 1995 | 97.5 | 94.6 | 91.6 | 92.7 | 92.8 |
| 2000 | 97.1 | 92.2 | 91.6 | 91.9 | 93.4 |
| 2005 | 96.0 | 91.3 | 90.5 | 91.0 | 93.6 |
| 年次 | スイス | ハンガリー | OECD加盟国 |
| 1970 | ---- | --- | 94.6 |
| 1975 | ---- | --- | 95.4 |
| 1980 | ---- | ---- | 95.0 |
| 1985 | ---- | ---- | 94.6 |
| 1990 | ---- | ---- | 94.2 |
| 1995 | 98.3 | 86.5 | 93.1 |
| 2000 | 96.8 | 84.4 | 92.6 |
| 2005 | 95.6 | 85.5 | 92.1 |
資料:OECD ウェブサイト
http://stats.oecd.org/wbos/default.aspx?DatasetCode=LFS_SEXAGE_I_R
(最終アクセス2008年5月21日)より作成。
プライドの高さ、若者特有の万能感
私のクラスメイトたちは、模試の際には、志望校欄に難関大学ばかりを書いていました。しかし、彼ら・彼女らの偏差値は必ずしも高くはなく(私もそうだったのですが)、模試の結果、彼ら・彼女らに返ってきたのは、D判定やE判定ばかりでした。
自身の学力を省みず難関大学の名前ばかり書く教え子達を、先生方はプライドが高いとして、さんざん馬鹿にしていました。私は、プライドだけでなく、若者特有の万能感も、クラスメイトたちをそうさせたのではないかとも思っています。自分は特別な存在であり、二流三流の大学で収まってたまるかといったところでしょうか。
結局受験が終わってみると、ほぼ全員が難関大学には合格できませんでした。「あんなに勉強したのに…どうしてこの程度の大学にしか受からなかったんだ」こういう声が、クラス中のあちこちから聞こえてきました。
私は同じクラスメイトとして、彼ら・彼女らの努力をよく見てきました。1年生の頃から大学受験を見据え、部活動にも入らず、勉強ばかりの毎日をよくぞ耐え抜いたものだと思います。
ただ、受験生は誰だっておおむねよく勉強しているものです。本人たちとしては勤勉に頑張っていたのかもしれませんが、難関大学に合格する人はそれ以上に勉強していたのかもしれません。クラスメイトが馬鹿にしていた比較的偏差値が低い大学に入学する学生も、実は彼ら・彼女らが考えていたよりも、ずっと多くの勉強量をこなしていたのかもしれません。あるいは、残念ながらこのクラスには、もともと受験勉強の素質があまりない人が多かったのかもしれません。
こうして、クラスメイトたちは、自分たちは一流大学に入れなかった、努力は簡単には報われなかったということを実感して、高校を卒業していったのでした。しかし、こうした経験は意義深いものだったのではないかと私は思います。
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ちなみに、私はクラスメイトたちとは逆に、志望校欄には自分の身の丈に合った大学ばかりを書いていました。しかし、先生は、私は身の丈どころかそれ以下の大学を志望していると見ていたようで、「どうしてお前が、こんな偏差値の低い大学志望するんだ」「こんなの、クラスではお前だけだぞ」と何度も私を注意していました。この件で、職員室に呼び出されたことまであります(私が一番情けないです)。
私はプライドが低かったのかもしれません。もしくは、若者特有の万能感がない珍しい高校生だったのかもしれません。
低下する男性の労働力率(労働参加率)
15歳以上人口のうち、働いている人と、
「俺様がこの家で一番偉い!」
最近このウサギ、「俺様がこの家で一番偉い!」と考えている節があることに気づきました。これまで主に私の親がウサギの世話をしてきたのですが、その親よりも自分は偉いと考えているらしいのです。
私達がえさを買ってきて、与えてやっているからなんとか生きているのに、勘違いもいいところです。というわけで、最近、私の親は、「私がエサをやらなければお前は生きていくことはできないのだ」とウサギに説教をしているのですが、果たして人語が通じているのかどうかは定かではありません。
ついでに言うと、このウサギを檻から放して部屋に解放すると、部屋にある色々なものをかじろうとします。機械の配線をかじり、使い物にならなくしてしまったこともあります。危なっかしくって、パソコンの周辺で放すことはできません。
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とはいえ、こうしたウサギの思考や行動はおそらく動物としては自然なことなのだろうと思います。飼い主としては「ウサギはものをかじる。とんでもない奴だ」と頭にきますが、それは習性なのですから、ウサギを責めても仕方がありません。
人間の場合はそうではありません。私も家にこもって親に養ってもらっている身分ですが、最低限、おかしな思い上がりをしたり、不必要な破壊行為をしたりして、家族をこれ以上困らせたりはしたくないものです。
日本の若年ホームレス、ネットカフェ難民の数
これは 2007年における、0〜34歳の若年ホームレスの数です。
ニートやひきこもりについては、よく「家から追い出せ」という主張があります。本当に家から追い出すとホームレスになってしまいますが、果たして若年ホームレスは日本にいったいどれぐらいいるのだろうかと気になり、調べてみました。
0〜34歳という年齢を設定したのは、ニートが18〜34歳と定義されることが多いので、それに合わせました。なお、若年ホームレスを年齢層別に見てみると、19歳以下が1人、20〜24歳が3人、25〜29歳が8人、30〜34歳が20人です。
もっとも、この32人全てが、ニート、ひきこもり生活の末に家から追い出されたとは限りません。
[出典]
◇ 厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査報告書」、平成19年4月、13ページ。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/04/dl/h0406-5d.pdf
[最終アクセス2008年5月12日]
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ところが、次のような数字もあります。
2,506人
こちらは、同じく 2007年における、ネットカフェで寝泊りする者のうち住居を喪失した0〜34歳の若者の数です。「ネットカフェ難民」の若者と言えばいいのでしょうか。
ネットカフェで寝泊りする者で、住む家がない者の数は 5,400人と推計されています。そのうち、0〜34の若者の割合は 46.4%です。そこから 2,506人という数字を割り出しました。同様に、年齢層別に求めると、19歳以下が529人、20〜24歳が713人、25〜29歳が718人、30〜34歳が540人です。
先ほどの 32人という数字と比べるとかなり大きな差がありますが、この2,506人も、全てがニート、ひきこもり生活の末に家から追い出されたとは限りません。
32人にしろ2,506人にしろ、何十万人とも言われるニート、ひきこもりの数に比べれば、比較にならないぐらい小さな数字です。
[出典]
◇ 厚生労働省「日雇い派遣労働者の実態に関する調査及び住居喪失不安定就労者の実態に関する調査の概要」、平成19年8月。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/dl/h0828-1n.pdf
氷河期から今日まで続く厳選採用
バブル期と比べて氷河期がどれほど大卒にとって就職しにくい状況だったのか。リクルートワークス研究所が発表する大卒の有効求人倍率を見ると、これが数字というかたちで客観的に分かります。
ただ、こういった数字には表れないものがあるのではないかと私は思います。
私が就職ガイダンス等でよく聞かされたことは、バブル期と違い、氷河期には企業は「厳選採用」を行うようになったということでした。つまり、バブル期の企業は「今年は○○人採用する」という方針を固めると、時に採用基準を下げてまで○○人集めたと聞きます。しかし氷河期の企業は、採用基準を満たす人材が見つからなければ、たとえ採用人数が予定数を満たさなくても、それで募集を打ち切ったというのです。
このことが事実だとすると、氷河期の大卒は、バブル期のそれよりも、有効求人倍率で単純で比較するよりも、さらに就職が厳しかったことになります。
企業の採用基準に関するこうした傾向については、現在も続いていると新聞報道等で目にするのですが、本当でしょうか。もしそうだとすると、仮に私が氷河期ではなく今日の売り手市場で新規大卒として就職活動をしていたとしても、きっとどこにも採用されなかったに違いありません。いくら景気が良くなって求人が増えても、本人にコミュニケーション能力がないなどの人材としての問題があれば、就職は難しいでしょう。
一般企業では勤まらない人
私が大学に入学して間もない頃、ある若い先生(助教授)が私たちにこう話されたのを覚えています。もっとも、この先生は、本気でこうおっしゃったのか、それとも冗談でこうおっしゃったのか、そのあたりのところは分かりません。
学生の中にも、「一般企業でやっていけない変わった人が、大学の教員になる」という、とんでもないことを冗談めかして言う人がいました。もっとも、逆に一般企業では通用しても、高度な専門知識が要求される大学教員はとても勤めらないという人は、ごまんといそうです。
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私が子供の頃から漠然と感じていたのは、大人の中には、一般企業では勤まらないタイプの人がいるのではないかということでした。実際、私の親類の中にはそう言われていた人が多数いました。一般企業の社員として勤めきることができた人は、私の親類には実に少ないです。今で言うニートになった人も何人かいました。
かく言う私も、子どもの頃から、親を含む多くの人から、一般企業ではやっていけないタイプだと言われ続けてきました。性格があまりに大人しすぎるからだそうです。
もっとも、中には、「君のような若者は、どこに行っても通用する」とおっしゃってくださる方も、何人かいらっしゃいました。性格が真面目そうだからだそうです。
アンダークラス論:貧困は本人のせい?

http://ci.nii.ac.jp/naid/110004628555/
(CiNii は国立情報学研究所のサービスです)
「アンダークラス」という概念は、もともとは、経済学者・Gunnar Myrdal の1963年の著書 Challenge to Affluence(邦訳書『豊かさへの挑戦』)の中で初めて使われた欧米の概念で、平たく言えば、貧困層のことです。当初は、アンダークラスが生み出されるに至った社会的背景への注意を喚起する目的で使われた概念でした。
しかし、その後、アンダークラスの概念は変わっていきます。Charles Murray 氏などにより、アンダークラスという概念は、次第に当事者たちの行動様式のあり方を強調するものに変わっていきました。
分かりやすく言えば、もともとは社会が原因で貧困になる人たち、という意味だったのに、怠惰や非行といった本人たちが原因で貧困から抜け出せない人たち、という意味に変わっていったといったところでしょうか。
フリーターの増加の要因は若者自身にある(若者の意欲や能力の低下など)と考えるべきなのか、それとも社会の方にある(経済構造の変化など)と考えるべきなのか。上の論文の著者は後者の立場をとり、フリーターをアンダークラス概念と対比させ、その言説にともなう問題を示しています。
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フリーターとアンダークラスの共通点に着目しているところが、この論文の面白いところだと思います。著者は、フリーターを「日本版 "アンダークラス"」と表現しています。
とすると、ニートやひきこもりも、「日本版 "アンダークラス"」と考えてみるのはどうでしょうか。ニートやひきこもりは、フリーター以上に、本人に原因があるという見方が一般的ではないかと思います。「就職氷河期には、正社員の求人そのものが少なかったから、フリーターにならざるを得ない若者が増えたのは仕方がない。しかし、ニート、ひきこもりは求職活動すらしておらず、フリーターと違って仕事への意欲がない。仕事をえり好みしている者もいるのではないか」といったところです。
そうしたニート論、ひきこもり論の当否については、ここでは私は何も書きません。ただ一つ言える事は、学者など第三者は、ニート、ひきこもり増加の原因を社会に求めるのは自由ですが、ニート、ひきこもり本人がそうすることはできないということです。










