将来、医者(非精神科)を訪れるひきこもり者が増える?

10代のあるひきこもりの若者が、両臀部(平たく言えばお尻の両側)に皮膚懐死を起こした日本の事例が、英文雑誌に掲載されています。私はこの論文の要旨と冒頭部分しか読んでいないので大きなことは言えないのですが、要旨部分には興味深いことが書かれています。

「今後、ひきこもりに基づく二次疾患が増加し、精神科医ではない医療従事者がひきこもり者に遭遇することが増えるかもしれない。精神科医だけではなく、全ての医療従事者による、ひきこもりの原因、診断、治療的介入に関するコンセンサスが緊急に求められるだろう」私の日本語訳は下手ですが、だいたいこのようなことが書かれています(Furukawa, et al., 2012)。

* 以下引用 *

In future, the incidence that medical staff, not psychiatrists, encounters in hikikomori patients may increase because of the increase of the secondary disease based on hikikomori. The consensus about the causes, diagnosis and therapeutic interventions for hikikomori will be required not only by psychiatrists but also by all of the medical staff now, with urgency.

* 引用終わり *

論文の著者の趣旨は要旨しか読んでいない私には分かりませんが、ひきこもりは運動不足になりやすく、また昼夜逆転が伴いやすいなど、ひきこもり生活は不健康なもので、二次疾患というのはあり得ない話ではないだろうと思います。特に、ひきこもりが長期化すると深刻そうです。精神科医の中垣内正和氏は、「長期間のひきこもりを経て受診した段階においては(中略)、極度の栄養不良・栄養障害や放置された骨折、発声障害など身体疾患の合併が多く」などと述べています(中垣内, 2010)。

私などは、身体に不調があっても病院に行くのを渋り、ひきこもりの長期化とともに問題を悪化させる者の存在を想像します。実際、高校卒業後31歳までひきこもった、健康診断の受診歴がない男性が、無治療で放置された状態で末期腎不全となり、入院した事例が報告されています(小野ら, 2006)。

加えて、まだひきこもり者は若い人が多いでしょうが、そのひきこもり者も高齢化すると、病気にかかりやすくなります。

このように、ひきこもり者の健康問題は将来深刻化するかもしれないと思うのですが、これにより医療(精神科以外)にかかるひきこもり者が将来増えるかどうかは私にはまだよく分かりません。医者にかからず自宅で健康状態を悪化させるひきこもり者が増えるだけかもしれません。

いずれにせよ、当事者に近い立場の者として言うと、論文の著者が主張するようなひきこもりに関するコンセンサスが整えば、ありがたい話ではあります。また、病気が悪化する前に医療機関を訪れやすくもなるというものです。

[文献]

◇ Furukawa, H., Oyamaa, A., Funayamaa, E., Hayashia, T., & Yamamoto, Y. (2012). Skin necrosis around bilateral buttock of hikikomori teenager. International Journal of Culture and Mental Health. doi: 10.1080/17542863.2012.685485

◇ 中垣内正和(2010)「長期化・重篤化したひきこもりへの支援の必要性について」『旅立ち』56、2ページ。
http://www.khj-h.com/tabidati/tabi_56.pdf

◇ 小野芳啓、河野真意、松本和久、林雅道、古作望(2006)「末期腎不全から救命不能であった引きこもり成人の一例」The Kitakanto Medical Journal 56(3)、250-251。

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