香港に引きこもりはどれほどいるか

香港の引きこもり研究が出ました。香港で引きこもりの若者がどれほどの割合で存在するのかを調べたもののようです。その要旨だけなら、英語でではありますが、無料で読むことができます。

◇ The prevalence and correlates of severe social withdrawal (hikikomori) in Hong Kong: A cross-sectional telephone-based survey study
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引きこもりの定義ですが、国際的には6ヶ月以上持続することが基準として提案されているそうです。日本でも、6ヶ月以上という要件はよく見かけます。その6ヶ月基準だと、香港では12~29歳の1.9%が引きこもりと推定されたそうです。1,010人の電話インタビューによります。

この1.9%という割合は日本に比べて多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

日本で2002年度から2005年度にかけて行われた「地域疫学調査による『ひきこもり』の実態と精神医学的診断について」では、4,134人(55.1%)が調査に協力、そのうち20~49歳の1,660人に6ヶ月以上の引きこもり経験を問うなどしました。また、4,134人に対して、現在引きこもり状態にあたる子供がいるかどうかなどを尋ねました。その結果、引きこもりを経験したことがある者は19人で、その率は1.14%(95%信頼区間0.63~1.66%)でした。また、現在引きこもりの状態にあたる子供がいると答えた回答者は23人で、その率は0.56%(95%信頼区間0.33~0.78%)でした。

また、2010年の内閣府の「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」では、15~39歳の回答者のうち、有効回収数(率)3,287人(65.7%) 中59人が 6ヶ月以上引きこもっていて、その率は1.79% でした。

こう見てくると、香港の1.9%という割合は日本とそう変わらないか、やや多いようにも思えます。要旨にも "The study finds that the prevalence of severe social withdrawal in Hong Kong is comparable to that in Japan" と書かれてあります。ただ、要旨を読むだけでは、この香港の調査はどういう方法でなされたのか、引きこもりをどう定義したのかなど詳しいことは分かりません。また、調査対象者の年齢層が12~29歳であり、他の日本の調査とは簡単に比較はできません。全文を読んでみたいのですが、私にはハードルが高いです。

なお、この香港の調査では、6ヶ月未満の引きこもりや、引きこもり行動がありながら自分では問題ないと考えている人についても調査が行われているようです。

[文献]

◇ Wong, P.W., Li, T.M., Chan, M., Law, Y., Chau, M., Cheng, C., Fu, K., Bacon-Shone, J., Yip, P.S. (2014). The prevalence and correlates of severe social withdrawal (hikikomori) in Hong Kong: A cross-sectional telephone-based survey study. International Journal of Social Psychiatry. Advance online publication. doi:10.1177/0020764014543711

◇ 小山明日香、三宅由子、立森久照、竹島正、川上憲人(2007)「地域疫学調査による『ひきこもり』の実態と精神医学的診断について」-平成14年度~平成17年度のまとめ- 川上憲人『こころの健康の疫学調査に関する研究 平成18年度総括・分担報告研究書』119-127。

◇ 内閣府(2010)「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/pdf_index.html

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