「日本のニートは高学歴」報道の元となった報告

日本のニートは高学歴云々とするニュースが、先月、一部で取り上げられました。『読売新聞』や『J-CASTニュース』ほか、様々なメディアがこれを扱っています(電子版で確認)。

↓ その一例。『J-CASTニュース』へのリンク。
日本のニートは「高学歴」 OECD「学校から仕事へと円滑につなげる仕組み作りが必要」
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ニュース記事では「経済協力開発機構(OECD)が2015年5月27日に発表した若者の技能と雇用に関する報告でわかった」などと書かれてあります。この「報告」とは、OECD Skills Outlook 2015 (『OECD技能アウトルック2015』)です。OECD 東京センターも公式ウェブサイトなどで紹介しています。

↓ OECD 東京センターへのリンク。『OECD技能アウトルック2015』の紹介ページです。
◇ OECDによると、各国政府は若者の失業に取り組むべく一層の努力をすべき
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この報告については OECD 本部のウェブサイトももちろん取り上げているほか、全文公開(英語)がされています。本文にまで目を通してみると、ニュース記事では見えなかったことが見えてくるかもしれません。

↓ OECD 本部ウェブサイトへのリンク。
◇ OECD Skills Outlook 2015 - Youth, Skills and Employability
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↓ 全文読めます。
◇ OECD READ edition
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まず、この OECD の報告書が言うニートと、日本で言うニートは定義が違います。OECD 定義のニートには、求職活動を行なう若者も含まれます(一部報道は、ここを誤って伝えているのではないかと思います)。実際、報告書には、求職活動を行なう "Unemployed NEETs" と求職活動を行なわない "Inactive NEETs" という分け方があります(89ページ)。ですが、日本でニートと言うと、求職活動している若者は含まれません。また、年齢層も違います。今回の OECD の報告書では、15-29歳や16-29歳のニートに焦点が当たっていますが、日本でニートというと、15-34歳です。

報告書によると、確かに日本のニートには高学力の者が他の OECD加盟国に比べると多いのですが(第4章)、日本の若者全体が高学力で(第2章)、ニートとそうでない者の学力の差は他国に比べると少ないです(102ページ)。

また、日本のニートの若者に占める人口比は、2013年時点では OECD加盟国の中でも低いようです(80ページ;この図は15~29歳のニート比率の比較ですが、日本に関しては15~24歳のデータで、一概に比較はできません。ですが、それにしても日本のニート比率はかなり低いです)。このあたりのところも把握しておくと、ニュース記事の解釈が変わってくるかもしれません。

日本は若者が高学力を身につけやすい国で、実際に多くの若者が高学力を身につけており、OECD が定義する意味でのニートは他の OECD加盟国に比べると人口比で少ない国と私は見ています。

※ ただし、ICT スキルだけは、日本の若者はかなり低いという結果が出て、一部で取り上げられています。

↓ BLOGOS へのリンクです。
◇ 日本のパソコン技能がOECD最低報道の誤解
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