人間力って何ぞや

残虐ゲームがニート生む 奥田会長が苦言

日本経団連の奥田会長は8日の記者会見で、残虐シーンが含まれるゲームソフトが原因で社会に適応できない若者が増え「ニート」増大の一つの要因になっていると指摘。チェック体制の確立に向け検討を始めたことを明らかにした。(3月9日付、中日新聞8面より)
奥田氏は、「若者の人間力を高めるための国民運動」の議長であり、ニート対策にも携わっています。

しかし、さすがは奥田氏。日露賢人会議のメンバー、日本を代表する賢人の一人とあって、言うことが違います。「残虐ゲームがニート生む」などと、私には全く理解できません。

ところで、奥田氏が関わる国民運動についてですが、「人間力」って、いったい何なのでしょうか? * * * * * * * * * *

■ 公式見解は?

この「人間力」なる曖昧模糊とした概念について、国民運動のパンフレット(若者向け)には、こう書かれてあります。
「働くことは、社会のなかで、人と交流して、協力し合い、自立したひとりの人間として力強く生きていく。そのための総合的なチカラを、国民運動では『人間力』と呼んでいます」
これが公式見解と思いきや、運動に携わる若者サポーターと呼ばれる特派員たちは、それぞれ独自の人間力論を展開しており、混乱させられます。次は、その一例です。
「自分の周りにいる人と接することでみえてくる自分にできること。それを人におすそわけできる力。些細なことでも人間力ではないでしょうか」(岸波綾子氏)
岸波氏によると、「人間力」とは「おすそわけ力」とでもなるのでしょうか。その他、どの若者サポーターも言っていることがバラバラです。その上、「考え方は人それぞれ」などと見解の不統一を容認する記述も見られ、ますます頭が混乱します。同じ運動に携わるスタッフなんですから、見解を統一してもらいたいものです。

■ 玄田有史氏「リターン力」

玄田有史氏は、「玄田ラヂオ」というブログを公開しているのですが、その中で独自の人間力論を展開しています。
http://www.genda-radio.com/blog/
archives/2005/11/post_100.html

最近、若者の人間力という言葉がよく使われますが、私は、若者の人間力って「リターン」する力だと思います。挨拶で「リターン」、気持ちで「リターン」。ちゃんと「リターン」していくと、おっちゃん、おばちゃんたちはついついかまいたくなるものなのだよ。
玄田氏が言う「リターン」というのは、例えば、希望の大学に合格したときに、お世話になった人に挨拶するとか、借りたお金を返すとか、そういうことらしいです。玄田氏の文章を読んでいると、人の力を借りることが人間力だとも解釈できます。

■ 工藤啓氏「ひとに頼む能力」

「育て上げネット」理事長の工藤啓氏もブログを公開しており、その中で独自の人間力論を展開しています。
http://blog.goo.ne.jp/mpnet/e/
a5dd7a857222fa580ba574f69814ffe3

「人間力」って何だろう。最近の言葉だよね。きっと。
学生の時に聞いたことないし。ちなみに、キックオフイベントのときに、玄田有史先生よりこの質問をふられ、とっさに答えたのが、「ひとに頼む能力」だった。
 個人的には比較的いい線いっているんじゃないかと思う。ひとに頼むのは簡単に見えるけど、関係を維持していく、これまでの貸し借り、人間関係、第三者への影響などなどを深く考えると、意外と慎重になるもの。
私も学生のときに、人間力なんて言葉聞いたことはありません。

それにしても、若者の自立を支援する立場にある人が、個人の自助努力ではなく「ひとに頼む能力」を重く見ているのが面白いです。結局、若者は1人で自立するよりも、誰かの力を借りた方がラク…ということなのでしょうか。このあたりは、玄田氏とも通じるところを個人的に感じます。

■ 人間力のせいにするな!

それにしても、その定義は、論者によって、あまりにバラバラです。いかに曖昧模糊とした概念かということが、よく分かります。

しかし、曖昧であるがゆえに、万能の言葉のようにも思えます。例えば、あの高校が甲子園で勝てなかったのはナインの人間力が足りなかったからだとか、あの病院が世間を騒がせているのは医師の人間力が不足しているからだとか、あの国がいつまでたっても途上国から抜け出せそうにないのは国民の人間力が不足しているからだとか。

なんでもかんでも人間力という曖昧なものに原因を求めようとすると、真の因果関係が見えなくなります。例えば、あの高校が甲子園で勝てなかったのは、エラーが多かったからだとか、チャンスでことごとく凡退したからだとか、あそこで監督が采配ミスをしたとか、原因というのはこういうものなのではないでしょうか。

■ 私の人間力論

みんな好き勝手言っていますから、私も好き放題人間力論を展開してみたいと思います。人間力とは、きっとこんなチカラのことを言うのです。

☆ 洞察力

例えば、ニート増加の原因の1つを残虐ゲームに求めるような人は、洞察力に欠けており、人間力があるとは言えない。

☆ 想像力

ニートと呼ばれるの中には、病気や障害(障碍)で働けない人たちや家事手伝い、家族の介護、資格取得のための勉強をしている人たちなど、さまざまな人が含まれているのに、そのことに頭が回らず、ニートは「人間力」のない若者としか想像できないような人は、想像力が欠如しており、人間力があるとは言えない。

☆ 他人に責任を押し付けない力

例えば、正社員の採用を抑えておきながら、フリーター(政府の定義に従って、派遣・パート・無業者も含む)増大の原因を「人間力」のない若者のせいにするような財界首脳は、他人に責任を押し付けており、人間力があるとは言えない。

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