中年ニート in アメリカ

働かず、職探しもしない、アメリカの30-55歳の男性たちを取り上げた、『ニューヨークタイムズ』の7月31日の記事 "Men Not Working, and Not Wanting Just Any Job" は大変面白かったです。

言ってみれば、アメリカの中年ニート!

■ 勤労意欲旺盛な世代にも

記事では、一つの事例として Beggerow さんという53歳の職探しをしない無職男性が取り上げられています。

驚きました。53歳というと、一般に勤労意欲が旺盛と言われているベビーブーマー世代(日本の団塊の世代のようなもの)ではありませんか。

■ 高卒の元ブルーワーカーに多い

アメリカは日本と違って大変な金持ちが多い国だから、働かなくてもリッチに暮らしていける男性が多いのだろう、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、どうもそうではないようです。

ほとんどのアメリカ中年ニートの学歴は高卒で、ブルーワーカーとして働いていたものの職を失って、こうなったようです。おそらく、職に就いていたときも低賃金で働いていたのでしょう。

それでも、以前働いていたわけですから蓄えがありますし、社会保障を頼ったりして暮らしているようです。しかし、中にはホームレスも含まれているのではないかと私は見ています(日本のニートと同様、統計に表れないので実態がつかみにくいのです)。日本のニートには蓄えがなく、親に頼って生活している人が多そうです。

日本のニートも、低学歴者に多いという調査結果があります(内閣府「若年無業者に関する調査(中間報告)」)。
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■ 女性は社会進出しているのに…

より多くの男性が労働人口からドロップアウトしているにもかかわらず、より多くの女性が労働人口に入っている。

Even as more men are dropping out of the work force, more women are entering it.

という対比が興味深いです。

女性の社会進出が男性を労働市場から追い出したともとれるような内容も書かれています。日本でこういう論調の記事は見たことがありません。

もともとこの記事は、"THE NEW GENDER DIVIDE"(「新たな性差」)という特集記事の一つとして書かれたものです。

日本ではどうなのでしょうか。女性の社会進出で男性が社会から締め出されるようになって家事をしない男性ニートが増えたのでしょうか(厚労省は家事手伝いはニートではないとしています)。専業主夫というのは最近聞きますけれども。しかし、これはデータがないので分かりません。

最近の日本では、ご存知のように、将来的に労働力不足になるから、女性も労働力として積極的に活用しようという流れになってきています。女性が社会に出たために男性がドロップアウトすることが増えたという事実が仮に今までにあったとしても、今後はなくなるかもしれません。

アメリカでは日本のように出生率は低くはありませんし、移民の受け入れに寛容な国ですから、日本とは少々事情が異なるようです。

■ 「勤労意欲の低下が国を滅ぼす!」というような書き方がされていない

興味深いのは、日本のニートのように、勤労意欲が低下した者の増加が国に危機をもたらすというような書き方がなされていない点です。

同じアメリカの新聞でも、保守系の『ウォールストリートジャーナル』は、日本のニート問題をそういうように論じていたと聞きますが、新聞のカラーの違いなのか、扱っている題材の違いなのか、リベラルの『ニューヨークタイムズ』のこの記事は違います。

■ アメリカ国民の反応

記事は、「働こうとしないなんて、けしからん!」というような価値判断は排除して書かれてあります。

しかし、この記事を題材にした英語圏のブログを読んでいると、こうした職探しもしない中年ニートに反感を覚えている人も少なからずいることが分かります。「起業しようと思わないのか」というアメリカらしい(?)批判もいくつか見かけました。働くための具体的な行動を起こさない人に対する感情は、日本もアメリカもそう変わらないようです。

その他、さまざまな視点でこの記事を論じているブロガーを見つけることができますが、日本でこの記事を取り上げているのは、このブログだけのようです。

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