アイデンティティを確立しないと異性と付き合えないのか

「アイデンティティ」や「モラトリアム」というと、ニートやひきこもり問題のキーワードのように考える人も少なくありませんが、この概念を提起したのは、発達心理学で有名な Erick Erikson(エリック・エリクソン)です。※私は心理学初学者です。

Erikson は Sigmund Freud(ジークムント・フロイト)の影響を受けた精神分析家で、ライフサイクル論を提唱した学者として知られます。人間の発達を8つの段階に分け、それぞれの段階で克服するべき葛藤があると説きます。

例えば、青年期はアイデンティティ(心理学ではよく「同一性」と言う)の葛藤を克服するための、言い換えれば自分探しのモラトリアムの期間であると説明されます。

さらに、この期間にアイデンティティを確立させないと、真の親密さを伴った異性との交友関係を築くことはできないと説かれます。 * * * * * * * * * *

■ 発達の8段階

Erikson による発達の8段階は、概ね以下の通りです。

◇ 幼年期(基本的信頼 対 基本的不信)
⇒ 母親が子供に対して無条件の愛情を与えると、子供は人と基本的信頼をもって交わることができるようになる。もしそうした関わり方がなされないと、子供は人間関係の中で基本的不信を感じるようになる。

◇ 幼児期(自律性 対 恥と疑惑)
⇒ 自分の行動をコントロールできるか。親により、子供の自由な選択が奪われると、子供は自分の能力に対する恥と疑惑が強くなる。

◇ 遊戯期(積極性 対 罪悪感)
⇒ 家族との関係の中で、子供の積極性が促されると、子供は積極性を獲得する。積極性が妨げられると、罪悪感に陥る。

◇ 児童期(勤勉性 対 劣等感)
⇒ 学校での勉強などの中で熱意をもって取り組み、うまくいくと感じると、勤勉性を身につけることができる。失敗だらけだと、劣等感が身につき、努力は価値がないと考えるようになる。

◇ 青年期(アイデンティティ 対 アイデンティティ混乱)
⇒ 自分とは何者かということを考えるようになるモラトリアムの時期。これがうまくいかないと、自信がなくなり、社会的にひきこもってしまう。

◇ 成人前期(親密さ 対 孤立)
⇒ アイデンティティを確立すると、友人や恋人、競争相手や仲間と親密に交際することができるようになる。これがうまくいかないと、当然孤立する。


◇ 成人期(生殖性 対 停滞と自己陶酔)
⇒ 自分自身のことだけでなく、次世代の子供たちのことも考えることができるかどうか。これができないと、停滞と自己陶酔に陥ってしまう。

◇ 老齢期(統合性 対 絶望と嫌悪)
⇒ これら7つの発達の危機を乗り越えて、アイデンティティの統合が達成されると、自分の人生は有意義なものであったと感じることができるようになる。これがうまくいかないと、自分の人生に絶望と嫌悪を抱いてしまう。

■ アイデンティティ混乱

青年期(アイデンティティ 対 アイデンティティ混乱)
⇒ 自分とは何者かということを考えるようになるモラトリアムの時期。これがうまくいかないと、自信がなくなり、社会的にひきこもってしまう。

青年期においてアイデンティティが確立できない状態を、アイデンティティ混乱とか、アイデンティティ拡散などというのですが、なんだかどこかで聞いたことがあるような説明です。

ニートやひきこもりは自分探しのために社会に参加しない若者という見方は多いですが、こうした自分探しは、冷ややかに見られることも多いです。

また、成人前期において、アイデンティティが確立されていないと人(異性など恋愛相手含む)と親密に交際できないというのは耳が痛いような気もします。

■ 私の場合は…

ちなみに私は、

基本的信頼<基本的不信、自律性<恥と疑惑、積極性<罪悪感、勤勉性<劣等感、アイデンティティ<アイデンティティ混乱、親密さ<孤立

なのですが。

どの発達課題も克服できていないということでしょうか。私の幼年期に何か問題があったということなのでしょうか。それとも、いったん克服したはずの問題が、ぶり返したということでしょうか。

■ 根拠は何?

私は心理学初学者なのでよく分からないのですが、Erikson の発達理論の根拠は何かが気になります。根拠がはっきりしないと、この理論は Erikson 自身の単なる思い込みや偏見のように思えてきます。

Erikson によれば、アイデンティティが確立されていないと様々な問題が出てくるそうですが、日本で生まれ育った私は、はて、アイデンティティとはそんなに大事なものかと首をひねりたくなります。

成人期の説明など、独身の人やホモセクシャルの人に対する偏見のようにもとれます。そういえば昔、心理学のご高説を引き合いに出して、独身女性に対して差別的な発言を行った人物がいた記憶があるのですが、そこで引用された理論は、今にして思うと Erikson のものだったのかもしれません。

それだけに、この理論の根拠を知りたかったところですが、現段階では私は分かりませんでした。今後の課題とします。

なお、Erikson が提唱したアイデンティティの研究については、Marcia(マーシャ)が考案した方法により実証分析が数多く行われてきたそうです。


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年末年始は、Erikson の著書をもう少しゆっくり読んでみたい気もします。

ライフサイクル、その完結The Life Cycle Completed

[参考にしたもの]

◇ Erikson, H. E. (1997). The life cycle completed. New York: W. W. Norton & Company Inc.
◇ Hayes, N. (2003). Teach yourself psychology. (3rd ed.). Chicago: McGraw-Hill.
◇ Kendall, D. (2004). Sociology in our times. (3th ed.). Belmont: Wadsworth Publishing.
◇ Plotnik, R. (2004). Introduction to pychology. (7th ed.). Belmont: Wadsworth Publishing.
◇ Slee, T. P. (2002). Child, adolescent and family development. (2nd ed.). Cambridge: Cambridge University Press.
◇ 坂口哲司編『生涯発達心理学』ナカニシヤ出版、1995年。
◇ 山岸明子「青年の人格発達」、無藤隆、高橋惠子、田島信元編『発達心理学入門Ⅱ』、東京大学出版会、1990年。



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