ニートとは何か

[目次]

■ ニートは Not in Education, Employment or Training の略
■ 玄田有史、曲沼美恵両氏によるニートの定義
■ 通俗的なニートの定義
■ 政府によるニートの定義

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■ ニートは Not in Education, Employment or Training の略

ニート、NEET は Not in Education, Employment or Training の略です。直訳すれば、「教育、雇用、職業訓練の、いずれにも参加していない人」といったところでしょうか。

ニートは、イギリスから輸入された言葉です。イギリスでは特に16~18歳の若者の問題として扱われていますが[1]、日本でもニートは若者の問題と捉えられています。なお、若年層だけでなく中年層にも無業者が増えているという報告もあるのですが[2]、あまり問題にされることはありません。

■ 玄田有史、曲沼美恵両氏によるニートの定義

「ニート」という言葉が広く知られるようになったきっかけは、玄田有史、曲沼美恵両氏の著書『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』がベストセラーになったことです。そこで、まず同書の中での定義を見てみましょう。

仕事によって自分の未来を切り開いていくことに希望を持てない若者が、25歳未満に限ってみても、40万人は、いる。社会の入り口で立ち止まってしまったそんな若者を、私たちは「ニート」と呼ぶ。

ニートは働こうとしていないし、学校にも通っていない。仕事につくための専門的な訓練も受けていない。[3]

この著書の中でなされているニートの定義で特徴的なのは、「希望」です。「仕事についていないだけでなく、仕事につこうとする希望すら失ってしまった無業者の若者が膨大にいる」、[4]「就職にも進学にも希望を失った人々」。[5]この本の中で玄田氏が書いた内容にはこういう表現が数多く出てきます。

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■ 通俗的なニートの定義

世間一般で言われているニートというのは、おそらく次のような若者のことを指すのではないかと思います。

働く意欲のない無職の若者。

若者の意欲を問題にしているのが特徴です。

求職活動中の失業者は働く意欲があるものとみなされ、ニートには含まれないというのが世間一般の考え方ではないかと思います。また、病気や障害などで働こうにも働けない人も同様だろうと思います。

■ 政府によるニートの定義

「ニートが増加している」という報道が盛んですが、その根拠は概ね政府が発表する統計です。

厚労省と内閣府との間で、ニートの定義に違いがあります。ともに「若年無業者」という表現を使ってはいますが、ニートのことと解釈して差し支えありません。

◇ 厚労省の定義

厚生労働省は毎年、『労働経済の分析』を発表しています。同白書では、平成16年度版よりニートについて言及があります。最新版(平成18年度版)では、「若年無業者」が次のように定義されています。

年齢15~34歳に限定し、非労働力人口のうち家事も通学もしていない『その他』の者[6]

ここで、「非労働力人口」について説明します。「非労働力人口」とは、15歳以上の人口のうち、学生や家事従事者、その他の理由で無職であり、かつ仕事を求めない人のことを指します。

この他、厚労省は「学卒無業者」という言葉も使っています。

学校卒業後進学も就職もしていない、いわゆる学卒無業者[7]

「学卒無業」という言葉自体は、少なくとも平成12年度版の『労働経済の分析』には既に登場しています。[8]

◇ 内閣府のニートの定義

内閣府による定義は以下の通りです。

表 無業者とその類型についての定義(「非求職型」と「非希望型」がニートに相当
呼称定義
無業者(通学、有配偶者を除く)高校や大学などに通学しておらず、独身者であり、ふだん収入になる仕事をしていない、15歳以上34歳以下の個人(予備校や専門学校などに通学している場合も除く)
求職型無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就職希望を表明し、求職活動をしている個人
非求職型無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就職希望を表明しながら、求職活動はしていない個人
非希望型無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就職希望を表明していない個人
資料:内閣府政策統括官編「若年無業者に関する調査(中間報告)」表1「無業者とその類型についての定義」より作成。

就職希望の有無と、求職活動を実際に行っているかどうかを分けているところが特徴的です。

◇ 厚労省と内閣府の定義の違い

大きな違いとしては、家事従事者の扱いがあります。内閣府は、未婚で家事に従事している者もニートに含めていますが、厚労省は家事従事者はニートに含めません。

◇ 政府の定義の問題点

政府の定義には、玄田氏や曲沼氏の言う働く希望を失ったニートや、通俗的に理解されている働く意欲のないニートのほか、病気や障害で働けない人や、家族の介護に専念している人、結婚の準備で働かない人なども含まれています。

政府が発表する「ニートは○○万人」という数字は上の定義に基づいたものであるので、注意が必要です。

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注と参考文献

[1] Social Exclusion Unit, Bridging the Gap - New Opportunities for 16 –18 year olds not in Education, Employment or Training 1999.
[2] 玄田有史「中年無業者の実情」、内閣府政策統括官編『H17青少年の就労に関する研究調査』、21 - 26ページ。
[3] 玄田有史、曲沼美恵『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』幻冬舎、2004年、10ページ。
[4] 同上書、16ページ。
[5] 同上書、22ページ。
[6] 厚生労働省編『労働経済白書』、平成18年度版、国立印刷局、22ページ。
[7] 同上書、104ページ。
[8] 労働省編『労働白書』、平成12年度版、日本労働研究機構、http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaa200001/b0227.html(最終アクセス2007年2月28日)

参考文献

1 金森久雄、荒憲治郎、森口親司編『有斐閣 経済辞典』、第4版、2002年。

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