行動科学から見た不登校、ひきこもり

園田順一、高山巌、前田直樹、田中陽子、栗山和広「不登校と社会的引きこもり : 発展過程を探り、 対応と予防を考える」、『九州保健福祉大学研究紀要』No.5、2004年、77-84ページ。

↑ 不登校、ひきこもりを、特に行動分析学、行動療法の観点からまとめています。今回は、この論文について書きます。

■ 不登校やひきこもりは回避行動

上記論文にも触れられているように、行動分析学では、不登校やひきこもりは「回避行動」であると見ます。

■ 登校刺激を与えよ!

介入方法としては、不登校の場合なら、特に登校刺激を与えることの必要性が強調されています。「拒否する子どもを強制的に学校に連れて行き、教室に留まらせる」という過激な方法も紹介されています。いずれも行動分析学の観点から考えると理にかなっていると言えますが、物議をかもしそうな方法です。
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著者が述べるように、確かにこの手の方法は、神経症や強迫神経症の治療に実際に効果を挙げていると聞きます。しかし、神経症や強迫神経症と、不登校では話が違います。不登校生の学校復帰に効果を挙げた事例があるかどうかには著者は触れておらず、こうした方法が本当に学校復帰に役立つかどうかは、はっきり分かりません。

登校刺激がむしろ不登校を悪化させたという例も聞くので、刺激の与え方は注意しなければなりませんし、場合によっては刺激を与えない方がよいのではないかと私などは思います。

行動分析学については初歩的な知識しかない私だからこう言うのかもしれませんが、なにも行動療法原理主義になる必要は必ずしもないと思います。一つの方法として選択肢に入れるのも良いのではないかとも思います。

■ 行動分析学をめぐる倫理上の議論

それから、行動分析学については倫理上議論があります。「精神も、思想も、動機も問題でなく、行動反応だけが重要ならば、人間は条件づけされる実験動物の位置に還元される」[注] という批判もあります。

不登校やひきこもりについて言えば、極論すれば、本人の心の中は問題ではない、とにかく登校、社会に出るという行動を形成しさえすればよいというのが、行動療法の考え方です(間違っていたら、ごめんなさい)。

このことも頭に入れた上で、行動療法を導入するかどうかを考えるとよいと思います。

■ 「不登校や引きこもりにさせないための子育て10か条」

論文の最後にある「不登校や引きこもりにさせないための子育て10か条」は、行動分析学にこだわらずにまとめられています。私にとって疑問に感じる内容も含んでいますが、心理学の詳しい議論は分からないので、論評は避けます。

↓ 下記のページ右上の「CiNii PDF」というボタンから、論文を無料でダウンロードできます。国立情報学研究所が行っているサービスです。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004683160/

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[注] J.ルイス著、野島徳吉、野島恵子訳『人間この独自なるもの―モノー・ローレンツ・スキナー批判』、紀伊国屋書店、1976年の中のものですが、恐縮ですが下記の文献から孫引きしました。
鴨野元一「日々の暮らしにみる緘黙の知的障害者への行動変容アプローチ」、『川崎医療福祉学会誌』、Vol.8、No.2、1998年、289-296ページ。



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