格差、人的資本とひきこもり

この頃日本人の間で格差感が広がっています。私は詳しくはないのですが、企業における成果主義の導入や、非正規雇用の増加等が、人々の格差感を広げているのかもしれません。

一方で、経済学者からは、日本の格差の拡大は高齢化が大きな要因であるという実証分析も出されています(『大竹文雄日本の不平等』、日本経済新聞社、2005年)。

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格差が議論されているのは日本だけではありません。世界に目を転じてみても、 inequality(不平等)の問題が議論されています。ただ、日本とは違い、グローバル化の進展と技術進歩がその原因として取り上げられることが多いようです。

IMF(国際通貨基金)は、2007年10月に World Economic Outlook を発表し、その中で、所得の不平等はほとんどの国・地域で拡大しており、その主因は技術進歩にあると指摘しています。グローバル化については、金融のグローバル化を一因として挙げる一方で、貿易のグローバル化についてはむしろ不平等を減少させているとしています。

高い能力を実につけ、技術進歩に対応している人はますます豊かになる一方で、そうでない人は技術進歩の恩恵になかなかあずかることができません。これが不平等を拡大させているのでしょう。日本もこうした不平等の拡大と無関係ではいられないでしょう。

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一橋大学の守島基博教授(経産相の諮問機関・産業構造審議会に参加)は、18日『日本経済新聞』朝刊「経済教室」の中で、格差是正に向けた経済政策の目標として、人的資本の形成と活用をさらに大きく掲げるべきであると主張しています。「個人間の格差は、一人ひとりが社会のなかで必要な能力を身につける機会に制限や不公平がある場合や、かつ身につけた能力を発揮する機会が十分公平に与えられていない時に生じやすい」これは先の技術進歩につながる議論でもあります。

守島氏が言う「人的資本」とは、「スキルや知識などの『知的能力』にとどまらず、モチベーションや対人能力、コミュニケーション能力、健康などの幅広い知識を含む概念」です。「知的能力を十分発揮するには、個人のモチベーションや対人能力、自立心、忍耐力などの非認知能力、健康などを含めて高い水準に引き上げる必要があるからである」

この人的資本、(私を含む)ひきこもりの人には弱いのではないでしょうか。ひきこもりの人については、高校や大学を中退したり、中卒以降ずっとひきこもっていたりして、スキルや知識が十分に身についていない人が多いのではないかと思われます。人付き合いが苦手という声もひきこもりの人からよく聞きますが、これは対人能力、コミュニケーション能力の点で問題です。健康面でも、特にメンタルヘルスの面で不安を抱えている人がひきこもりの人には目につきます。

なんとか人的資本を高め、活かしたいところです。さもなければ、これからもずっと下の方の所得階層に位置することになってしまいます。人的資本を高めることについては、学校に入ったり(学費等はかかりますが)、職業訓練を受けたり、あるいは独学によってなんとかなりますが、それを活かす機会をつかむのが大変です。ですが、なんとかしたいものです。

※ IMFによると、不平等は拡大しつつも、一人当たり所得はどの国・地域でも改善しているそうです。

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