心の病気は、貧困よりも不幸?

明らかに、メンタルヘルスは健康の中核であるが、それだけではない。メンタルヘルスは、私たちの全体的な幸福の中心をなしている。例えば、うつと貧困、このうちどちらがより不幸の原因となるだろうか。答えは、うつである。貧困とうつとの相互関係を考慮に入れても、うつは、所得よりも、より多くの幸福の変化を説明する。[36] したがって、西欧社会においては、心の病気は、おそらく不幸の最も大きな単一の原因である。

Clearly, mental health is a key part of health, but it is more than that. It is central to our overall happiness. For example, we might ask, Which causes much more misery: depression or poverty? The answer is depression. It explains more of the variation in happiness than income does, even after we allow for the interrelation between poverty and depression. [36] So mental illness is probably the largest single cause of misery in Western societies.

貧困よりも、うつの方が不幸だというようなことが書かれてあります。

この説明についている 注36 によると、出典は、英国国立児童発達研究(UK National Child Development Study)です。幸福を計量的に分析しています。幸福というものは数字で計ることができるのでしょうか。

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これは英国の研究であり、日本に直接当てはめることはできないかもしれません。ただ、気になる研究です。

誰か知人にこころの病気を抱えている人がいる場合、「こいつ、自分が不幸だなんて甘えたこと言ってる。世界には経済的に恵まれないもっと不幸な人がたくさんいるのに」などと考えるのは慎重にした方がいいかもしれません。GDPが高い国に住んでいるから幸せか、所得が高いから幸せかというと、必ずしもそうではないかもしれません。

また、最近日本で貧困の問題がクローズアップされるようになりましたが、こうした研究を知ると、心の病気の方もクローズアップされてしかるべきかもしれないとも思えてきます。

ただ、こころの病気を抱えている当事者は、これはあまり気にしない方がいいかもしれません。自分は不幸だと思うと、ますます不幸になってしまいます。

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幸福の研究というと、一見すると新興宗教か何かの話のように思えますが、きちんと学問的に研究されているようです。

ちょうど今年1月には、英語圏で幸福の研究に関する本が2冊出版され、The Economist などが書評を書いています。日本では、『幸福の政治経済学』という本が知られているようです。

◇ The Geography of Bliss
◇ Against Happiness: In Praise of Melancholy
◇ 幸福の政治経済学

[文献]

◇ R, Layard. (2005). Happiness: Lessons from a New Science. London: Penguin Books Ltd.

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