引っ込み思案-目立たない非社会的問題行動-

斉藤環氏が言う「社会的ひきこもり」は "social withdrawal" という英語を直訳したものです(斉藤, 1998)。

しかし、それ以前にも、教育心理学の世界などでは、斉藤環氏が言う「社会的ひきこもり」とは別の、「社会的ひきこもり」(これまた "social withdrawal" の直訳です)の児童が問題にされることがあったようです。要するに引っ込み思案の子供のことで、「社会的引っ込み思案」、または単に「引っ込み思案」と呼ばれることもあります。

■ 引っ込み思案の何が問題か

引っ込み思案の何が問題視されているのかというと、仲間と交流しないと、子供の正常な発達が疎外されるということでしょう。海外の文献ですが、正常な発達には仲間同士の交流が必要ということが、理論として示されているだけでなく、実証もされていると読んだことがあります(Rubin, Burgess, Kennedy, & Stewart, 2003)。

私は、子供が引っ込み思案で人と交流をしないと、人との関わり方が分からないまま成長し、中にはひきこもりやニートになってしまう例もあるのではないかと見ています。

■ 注目されにくい非社会的問題行動

この分野の研究を探しているのですが、少なくとも日本に限ると、なかなか見つかりません。おそらく、引っ込み思案が問題視されることが少ないからではないかと思います。引っ込み思案の子どもは目立ちませんし、大人しくていい子とみなされることもあるでしょう。そもそも引っ込み思案のどこが問題かと考える人もいるでしょう(私は程度問題と考えています)。こうしたところは、場面緘黙症とよく似ています。このようにして、子供たちの非社会的問題行動が、放置されるわけです。

こうした傾向を持つ子供たちが、不登校やひきこもり、ニートという目立つ形をとったら、そのときに初めて、周囲の関心がその子たちに向かうのでしょう。

坂野雄二著『無気力・引っ込み思案・緘黙』は、少し古い本ですが、そうした目立たない問題行動を取り上げた書で、興味深いです。

◇ 斉藤環(1998). 社会的ひきこもり-終わらない思春期-. PHP研究所.
◇ Rubin, K.H., Burgess, K., Kennedy, A.E., & Stewart. S. (2003). Social withdrawal and inhibition in childhood. In E. Mash & R. Barkley (Eds.). Child Psychopathology (pp. 372-406). (2nd edition). New York: Guilford.

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