ニート、なぜ15~34歳だけ?

本当に素朴な疑問なのですが、ニートの定義には、どうして15~34歳という限定がついているのでしょうか?これについては、たしか玄田有史氏が、フリーターの定義に合わせたとどこかで話していたと思うのですが、出典を示すことができません。

しかし、それならそれで、どうしてニートをそうした年齢層の若者に限定するのでしょうか?35歳以上の無業者をニートと呼ばないのは、なぜなのでしょうか? * * * * * * * * * *

■ 小杉、堀、玄田、曲沼氏らの著作から

玄田有史、曲沼美恵両氏の『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』や、それよりさらに前の小杉礼子、堀有喜衣両氏のワーキングペーパー(2003年。最初に日本版ニートについてまとめた著作物?)等を読んだのですが、その理由ははっきり書かれてありません。

ただ、これらの著作からは、若者の就業問題への問題意識が感じられます。実際、小杉、堀、玄田氏らは、以前から、フリーターを含む若者の就業問題に関する著作を発表してきました。

■ ニートという言葉の由来・イギリスNEETは

ニートという言葉の由来は、イギリスの社会的排除防止局の Bridging the Gap という、NEET対策をまとめた調査報告書です。イギリスのNEETの定義は日本とは異なり、年齢層は16-18歳です。報告書の中では、次のように書かれてあります。

16 is a critical point when for some, problems that have been brewing for years reach a crisis, and for others, problems begin that could have been avoided. Both groups – and society more generally – bear the costs for years to come.

16歳という年齢は、重要である。ある者にとっては、何年もの間起ってきた問題が危機に達する時であり、別の者にとっては、避けられたはずの問題が始まる時である。両者とも -そしてより一般的には、社会も- その先何年もコストを負担することになる。

若者のNEET化は、将来のコスト負担が大きそうです。日本でニートが特に若者に限って問題にされるのも、このためかもしれません。

■ いずれにせよ…

いずれにせよ、日本版ニートを若者のみに限定する定義は、小杉、堀、玄田氏ら以外の多くの論者に受け入れられています。これに異を唱えた専門家を、少なくとも私は知りません。

■ ニートの定義再考

失業者の定義には、年齢の限定はありません。一方、無業者については、特に15~34歳の若者がニートとして問題にされます。

ニートの定義に年齢の縛りを入れたことにより、15~34歳の無業者ばかりが問題にされるようになってしまいました。確かにこの年齢層の無業化は将来への影響が最も大きそうですし、早期介入という点からも、15~34歳は最も重視するべきだろうと思います。ただ、35~54歳あたりの無業者も軽視するべきではないのではないでしょうか。「あの人たち、今年までニートだったけど、来年は35歳になるからニート卒業ですよ。よかったですねえ!」なんて、冗談にもなりません。それに、ニートには定義上若者しか含まれないため、無業者の増加は、あたかも若者だけの問題という誤解が広まってやしないでしょうか。

ただ、やはり15~34歳の無業と、それ以上の年齢層の無業とでは、問題が違います。分けて考えることは必要でしょう。

とすれば、35歳以上の中高年層の無業者もニートと定義して、さらにそれを、若年ニート・壮年ニート・高年ニートと分けて論じるのが良いのか。それとも今までのように、将来への影響が最も大きそうな15~34歳の無業者だけをニートと定義して論じるのが良いのか。でも、今さらニートの年齢の定義を変えるのは難しいか…。

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