1,530人の無職の青少年が自殺(平成19年)

ニートの若者の自殺について考えようと資料を探したところ、この頃公開された平成20年版の青少年白書に、青少年の自殺に関するデータを発見しました。ニートの自殺について考える手がかりになりそうです。

■ 無職の青少年の自殺者は1,530人(平成19年)

白書によりますと、平成19年に自殺した29歳以下の青少年の数は3,857人で、そのうち1,530人が無職者(学生・生徒や未就学児童は含めません)です。男女別に見ると、男性906人、女性624人という内訳です。青少年を未就学児童、学生・生徒、無職者、有職者に分けると、最も自殺者数が多いのが無職者です(内閣府, 2008)。

もちろん、無職=ニートではありません。無職でも求職活動をしている者であれば、ニートではなく失業者であると考えるのが一般的です。自殺した無職の青少年1,530人のうち、ニートの若者はその一部でしょう。

なお、これを全年齢層で見ると、平成19年の自殺者総数は33,093人で、そのうち無職者は18,990人です。ただし、18,990人中 4,982人は、年金・雇用保険等生活者です(警察庁生活安全局地域課, 2008)。一口に無職者といっても、高齢になって引退し年金生活を送っている者も無職者ですので、注意が必要です。 * * * * * * * * * *

■ 主婦も含んでいるので留保が必要

白書が出所としている資料は警察庁のものですが、警察庁の「平成19年中における自殺の概要資料」を見ると、無職の中には「主婦」も含まれています(警察庁生活安全局地域課, 2008)。ですから、無職の女性自殺者624人の中には、主婦がある程度含まれているものと思われます。

もちろん、無職の男性自殺者数906人の中にも、「主夫」が含まれている可能性を考えなくてはなりません。ただ、主夫はそれほど含まれてはないのではないかと思います(確かな根拠はありませんが)。

なお、内閣府の調査では、家事従事者であっても、通学しておらず、独身者であり、ふだん収入を伴う仕事をしていない15~34歳の者は、無業者として扱っています。そのうち、求職活動をしていない者を、いわゆるニートとみなしています(玄田, 2005)。家事をしていたらニートでないかといえば、議論が分かれるところだろうと思います。

■ 健康問題の自殺が多い?

無職の青少年の自殺の原因・動機を探りたいのですが、私の手元の資料では分かりません。

ただ、無職の青少年に限らず、青少年全般の自殺の原因・動機であればある程度分かります。警察庁の調べによると、青少年の自殺者のうち、原因・動機が明らかなものを調べたところ、家庭問題を原因・動機としたものが310人、健康問題が1,430人、経済・生活問題が412人、勤務問題が398人、男女問題が389人、学校問題が324人、その他が227人です(平成19年。3つまでの複数回答)(警察庁生活安全局地域課, 2008)。健康問題による自殺者が目立って多いです。

無職の青少年も、健康問題で自殺する人が多いのかなとも思うのですが、定かではありません。健康を害したために無職となった人もいるでしょうが、無職でいることが遠因となって健康を害したという例も考えられます。

なお、政府の統計によりニートと集計されている若者の中には、健康問題が理由で働いていない者も多いです(玄田, 2005)。健康問題で無業の若者をニートに含めるかどうかについては、議論の分かれるところだろうと思います。

■ むすび

29歳以下の無職青少年の自殺者は1,530人であり、未就学児童、学生・生徒、無職者、有職者の中では最も多いです。もっとも、無職=ニートではないので、1,530人の全てがニートの若者による自殺とは限りません。また、自殺した者の中には家事従事者が含まれていますし、さらには健康問題で自殺した者も多く含まれている可能性もあり、このあたりは留保が必要でしょう。

30歳以上の無職者の自殺者数は、今回の資料では分かりませんでした。資料がないか、また見つけたら何か書きます。

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[文献]

◇ 警察庁生活安全局地域課 (2008). 「平成19年中における自殺の概要資料」, 最終アクセス2008年12月1日,
http://www.npa.go.jp/toukei/chiiki10/h19_zisatsu.pdf
◇ 玄田有史. (2005).「若年無業者の実像」「青少年の就労に関する研究調査」, 内閣府政策統括官(共生社会政策担当), 最終アクセス2008年12月1日,
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/shurou/shurou.html
◇ 内閣府編. (2008). 『平成19年版青少年白書』, 最終アクセス2008年12月1日,
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h20honpenpdf/index_pdf.html



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