集団遊びと社会的自立

新しい青少年育成施策大綱が発表されたというので読んでみたところ、「社会的自立につながる活動機会の保障」の項目の第一に、以下のものが挙げられていました。

「集団遊びの機会の確保」

おそらく学童を念頭に置いたものでしょうが、集団遊びの機会の確保が、子どもの将来の社会的自立につながるということのようです。

社会的自立が困難な若者が大きな社会的関心を集めている今日ですが、集団遊びと社会的自立に関する議論は私はあまり聞いたことがなかったので、意外に感じられました。

昔から「よく遊び、よく学べ」と言いますが、子どもの頃に遊ぶことは大事だという話はよく聞きます。例えば『保育用語辞典』には、次のように書かれています(林邦雄, 2007)。

集団遊びでは、ルールを共有し、互いに摩擦を繰り返し、刺激を与えあいながら、人間関係能力、自己決定能力、情報処理能力などを、遊び体験を通して身につけていくという教育的効果がきわめて大きい。

(中略)

また、集団遊びは、幼児の個としての責任感や社会性を自然に獲得する意味でも重要な内容を含んでおり、保育者は集団遊びの指導力はもとより、その必要性を十分認識する必要がある。

ニート状態にある人の多くは対人コミュニケーションの苦手意識を持っています。この苦手意識が不登校、いじめ、ひきこもり、職場の人間関係のトラブルといったネガティブな体験につながり、苦手意識がさらに増幅されて就労が困難な状況に追い込まれたケースが多いという指摘があります(社会経済生産性本部, 2007)。

ニートの若者の中には、もしかしたら、子どもの頃に十分な集団遊びの経験を持ったことがなく、そのために、人間関係能力を学んだり、社会性を身につけたりできなかった者が多いのかもしれません。

このあたり、学術的にはどういう理論があるのか、どういった実証研究があるのかを探しているところです。

* * * * * * * * * *

ちなみに、私も子どもの頃は集団遊びの経験が極端に少なかったです。幼稚園の頃からお遊戯の時間がどうも苦手でした。小学校に入ると友達があまりできなかったため(全くいない時期もあった)遊びにもあまり誘われず、一人で過ごすことがとても多かったです。もっとも、このことが、私の現在の状況とどこまで関係があるかは分からないのですが。

子どもに集団遊びの機会を確保すると、遊び上手な子どもはよく遊ぶことができるでしょうが、昔の私のような、一番遊ばなければならない引っ込み思案児は相変わらず十分に遊べないままです。こうした子どもにも集団遊びに加わるようにできるようにするためには、場合によっては特別な訓練、特に社会的スキル訓練が必要になるだろうと思います。

◇ 社会生産性本部(2007)「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書」、http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/06/h0628-1.html、最終アクセス2008年12月12日。
◇ 林邦雄 (編)(2007)『保育用語辞典』、一藝社。

スポンサーリンク

トラックバック

URL :

最近の記事
カテゴリー
カレンダー(月別)
07 ≪│2017/08│≫ 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
RSSフィード
本など
「ニート」って言うな! (光文社新書)

若年者就業の経済学
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
心と身体
126位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
6位
アクセスランキングを見る>>
リンク
このサイトについて

このサイトはリンクフリーです。張るのも剥がすのもご自由になさってください。相互リンクは現在募集しておりません。

携帯用アドレスを取得されたい方は、「こちら」をクリックしてください。

このブログのリンク先のご利用につきましては、ご自身の責任のもとでお願いします。なお、本等のリンクについては、Amazon.co.jpのアフィリエイトプログラムを導入しています。

なお、「富条」はハンドルネームです。本名は全く違う名前です。

メールは nhjournal77@yahoo.co.jp まで。