「服従せざる者は食うべからず」

隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】ひきこもりの人に正論で説教をし、ひきこもりから立ち直らせようとするのは、逆効果とも聞きます。「働かざる者、食うべからず」と正論をぶつけるのも、場合によっては逆効果かもしれません。

ところで、ハイエクという経済学者が著した『隷属への道』(西山千明訳)という、経済思想の分野では非常に著名な古典があるのですが、この本の第9章で、次のような言葉が引用されています。

※ 『隷従への道』ともいう訳もあります。英語はThe Road to Serfdom

唯一の雇用主が国家である国においては、国家に反対することは、しだいに飢えていき、ついに死に至ることを意味する。昔の命題である「働かざる者は食うべからず」は、いまや新しい命題である「服従せざる者は食うべからず」によって、取って替わられてしまったのだ。

-L・トロツキー(1937年)

「(国家に)服従せざる者は食うべからず」!国や時代によっては、確かにこうしたところもあることでしょう。

この「食うべからず」の意味は、私たち現代日本人が言うところの「働かざる者、食うべからず」の「食うべからず」とは違うのではないかと私は解釈しています。つまり、上述書の第9章で

競争経済の最後の手段は差し押さえだが、計画経済の最後の制裁は絞首台だ

というレプケ(ドイツ、スイスの経済学者)の言葉が引用されていますが、「食うべからず」とは、こういうことなのだろうと思います。

現代日本のように、「働かざる者、食うべからず」という社会規範がある国では、社会になじめない人は生活に大きな不安を抱え、また、肩身が狭い思いをすることもあるでしょう。しかし、「(国家に)服従せざる者は食うべからず」という国よりは良さそうです。自由がない国での生活がどれほど窮屈なものか、想像するだけでぞっとします。まさか、社会になじめなさそうな人でも、国家に服従しさえすれば安定した職と収入が期待できるから楽ではないかとか、そうした甘い考えは通用しないでしょう。

ところで、New York Times(電子版)に1月4日に掲載された記事 "In Eastern Europe, Lives Languish in Mental Facilities" によると、ブルガリアにプラウダという孤立した場所があり、共産主義の時代、当局が精神障害(障碍)の人を公の目に触れないよう、その地に隠したそうです。統合失調症が原因でひきこもる人などは、こうした運命をたどるかもしれません。

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