不登校は就学義務違反か

日本国憲法にもとづく義務教育とは、「子供が、教育を受ける義務」と勘違いしていたことのある私です。

憲法の条文は、こうです。

第26条
1 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

このように、正しくは「保護する子女に、普通教育を受けさせる義務」です。子供にあるのは、教育を受ける「義務」ではなく、教育を受ける「権利」です。

■ 判例に見る、義務教育の趣旨

最高裁大法廷の判例は、この規定の趣旨について次のような見解を示しています。

「けだし、憲法がかように保護者に子女を就学せしむべき義務を課しているのは、単に普通教育が民主国家の存立、繁栄のため必要であるという国家的要請だけによるものではなくして、それがまた子女の人格の完成に必要欠くべからざるものであるということから、親の本来有している子女を教育すべき責務を完うせしめんとする趣旨に出たものでもある」(最大判昭39・2・26民集18巻2号343頁)

■ 義務教育の詳細

教育基本法や学校教育法には、この義務教育について、さらに詳しい規定があります。

学校教育法第144条には、罰則の規程まであります。「第17条第1項又は第2項の義務の履行の督促を受け、なお履行しない者は、10万円以下の罰金に処する」(第144条)「第20条の規定に違反した者は、10万円以下の罰金に処する」(第145条)

■ 不登校は就学義務違反か?

私などは、不登校の児童生徒は、就学義務に反しているかどうかが気になります。個人的に、法律家の見解が知りたいです(フリースクールの支援者とか、そういう方の見解ではなく)。

そこで、法律の学術書など、法律関係の書物を中心に色々調べたのですが、調べ方が足りなかったのか、よく分かりませんでした。ですが、一般向けの法律解説書等に、このことについて解説したものがいくつかあったので、ご紹介します。 * * * * * * * * * *

◇ 就学義務と通学義務

「この制度に対しては、就学義務に通学義務を含めず、学校に通わせない教育方法の選択を教育の自由に含める見解もある」(山下健次、畑中和夫(2002)(編)『ベーシック憲法入門』第2版、法律文化社)

この見解だと、たとえ不登校でも、フリースクールで勉強しているような子の場合、問題はないということになります。

実際1992年に、当時の文部省が、小中学校については、そうした子も出席扱いするよう通達を出しています。行政はこの見解をとっているということでしょうか。

◇ 「不登校が正等な理由によるものであれば、就学義務違反にならない」

弁護士の梅原ゆかり氏は、著書の中で、次のように解説しています。

梅原ゆかり(2008)『トラブルから子供を守る法律マニュアル』(三修社)
(新しいウィンドウで開く)

NPO法人リーガルセキュリティ倶楽部が運営するサイト「法、納得!ドットコム」も、ほぼ同じ説明です。

子どもが登校拒否しています(ページ中段)
(新しいウィンドウで開く)

■ むすび

義務教育と言っても、就学義務は、子どもではなく大人にあります。

不登校が就学義務違反になるかどうかについては、よく分からないのですが、正等な理由によるものであれば問題ないと説明している法律の専門家がいます。小中学生のフリースクールでの勉強は、1992年の旧文部省通達以来、出席扱いにされています。



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