企業はニートをどう見ているか

◇ 石阪督規(2008)「企業は若年無業者をどう見ているか : 三重県における『若年無業者支援に関する実態調査』の結果をふまえて」『人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要』25, 129-154.

論文を読んでいました。三重県のアンケート調査(2006年)という留保が必要ですが、企業がニートの若者をどう見ているかが分かり、とても興味深かったです。

私が目を引いたのは、アルバイト経験しかない、もしくは就業経験のない若年者を正社員として採用する可能性のある企業が全体の9割を占めていることです。これは一見すると、ニートの社会参加に明るい材料のように思えます。

しかし、(独)労働政策研究・研修機構が2004年に発表した「人口減少社会における人事戦略と職業意識に関する調査」では、フリーター、ニートの採用について、41.8%の企業が「正規従業員としても、非正規従業員としても採用するつもりはない」と回答しています。

両者の調査結果を一概に比べることはできませんが、非常に大きな差です。なぜこのような差が生まれたのでしょうか。私は、質問の仕方が一つの大きな原因ではないかと思います。三重県のアンケートでは、「能力があれば(アルバイト経験しかない、もしくは就業経験のない若年者を正社員として)採用してもよい」という、企業が比較的選びやすそうな選択項目がありました。実際、「能力があれば採用してもよい」と答えた企業の割合は63.1%にのぼります。

この「能力があれば」という条件、楽観は禁物ではないかと思います。

ほかに考えられる原因としては、調査時の労働市場の状況です。有効求人倍率、完全失業率といった雇用統計を見ると、三重県のアンケート調査を行った時点の方が、雇用情勢は改善しています。

なお、上の論文と(独)労働政策研究・研修機構の調査は、ネット上で無料でダウンロードできます(PDF形式)。ただし、ニートや若者全般に対する企業の厳しい意見も書かれてあるので、注意が必要です。

[論文]

http://hdl.handle.net/10076/9735
(新しいウィンドウで開く)

[(独)労働政策研究・研修機構の調査]

http://www.jil.go.jp/institute/research/2005/012.html
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[[(独)労働政策研究・研修機構ウェブサイト]

http://www.jil.go.jp/
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