南アにも統計上ニートがいる?

ワールドカップで世界中の注目を浴びた南アフリカ共和国は、失業率が高いことで知られます。南アフリカ統計局が今年5月に発表した Quarterly Labour Force Survey によると、2010年第一四半期の南アの失業率は25.2%に及びます。

ニートブログを運営している私の目を引いたのは、失業率もさることなら、非労働力人口の存在です。つまり、就業者ではなく、完全失業者[注1]でもない、例えば無職で職探しをしていないとか、そういった人たちです。同調査によると、15-64歳人口31,350千人のうち、こうした非労働力人口が 14,237千人存在します。その内訳は、以下の通りです。

生徒・学生 Student                      5,841千人
家事従事者 Home-maker                    2,753千人
病気・障害を持った者 Illness/disability           1,819千人
働くには年を取りすぎたないし若すぎる者 Too old/young to work 1,167千人
職探しを諦めた者 Discouraged work seekers[注2]        1,839千人
その他 Other                          820千人


非労働力人口比率を、年齢別、性別に見てみます。

男性・女性

15-64歳 45.2%
15-24歳 73.6%
25-54歳 27.4%
55-64歳 60.2%

女性のみ     男性のみ

15-64歳 52.1% 15-64歳 37.6%
15-24歳 76.5% 15-24歳 70.8%
25-54歳 36.4% 25-54歳 17.3%
55-64歳 69.9% 55-64歳 47.7%


ところで、日本の厚生労働省は、年齢を15~34歳に限定して、非労働力人口のうち家事も通学もしていない者をニート(厳密には「若年無業者」)と定義し、その数を集計しています。

上記南アの非労働力人口14,237千人のうち、生徒・学生と主婦家事従事者(2010年7月14日訂正)を除いた5,643千人の中で、特に15~34歳の者は、日本の厚労省が定義するところのニートになります(ただし、集計方法が南アと日本では若干異なるので、その点留意が必要です)。5,643千人のうち、15~34歳の者はいったい何人いるのでしょうか。

特に私の注意をひいたのが、25-54歳男性の非労働力人口比率が17.3%に及ぶことです。こうした人たちはどうした理由で無業状態なのでしょうか。教育を受けていたり主夫をしたりしている人がいるのかもしれませんが、年齢層と男性という性別からして、そうした人はごく少数でしょう。

いずれにせよ、厚労省のように、年齢を15~34歳に限定して、非労働力人口のうち家事も通学もしていない者をニートと定義すると、統計上は、南アにもニートの若者は相当数いそうです。ニートは日本やイギリスだけの問題ではないということなのか、それとも、ニートという概念を作りその数を集計するということ自体に問題があるということなのか。

↓ 以下、注と参照した文献です。 * * * * * * * * * *

[注1]

この Quarterly Labour Force Survey では、完全失業者は、次のように定義されます。日本の定義とだいたい同じです。

a) 調査週に失業していた。
b) 調査面接に先立つ4週間に、積極的に職探しをしたり事業を始めようと試みたりした。
かつ
c) 仕事に就くことができた。つまり、調査週に仕事を始めたり事業を始めることができた。
または
d) 過去4週間に積極的に職探しをしなかったが、将来のはっきりとした日に仕事をしたり事業を行う見込みがあり、なおかつ仕事に就くことができる。

a) Were not employed in the reference week and;
b) Actively looked for work or tried to start a business in the four weeks preceding the survey interview
and;
c) Were available for work, i.e. would have been able to start work or a business in the reference week
or;
d) Had not actively looked for work in the past four weeks but had a job or business to start at a definite date in the future and were available.

[注2]

この Quarterly Labour Force Survey では、職探しを諦めた者(Discouraged work seekers)は、次のように定義されます。

職探しを諦めた者とは、調査週に失業していて、仕事を欲していて、仕事に就くないし事業を始めることができたけれども、最近4週間に仕事を見つけるための積極的な行動を起こさなかった者。そして職探しをしなかった主な理由は、以下のいずれか。周辺に求人がなかった、彼または彼女の技能を必要とする仕事を見つけることができなかった、いかなる仕事も見つかる見込みがなかった。

Discouraged work-seeker is a person who was not employed during the reference period, wanted to work, was available to work/start a business but did not take active steps to find work during the last four weeks, provided that the main reason given for not seeking work was any of the following: no jobs available in the area; unable to find work requiring his/her skills; lost hope of finding any kind of work.

[文献]

◇ Statistics South Africa. (2010, May 4) Quarterly Labour Force Survey Retrieved from http://www.statssa.gov.za/Publications/P0211/P02111stQuarter2010.pdf
◇ 厚生労働省(2009)『平成21年版厚生労働白書』http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/09/index.html


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