イギリスNEET対策コネクションズ総論 1
イギリスのNEETに関する調査報告書 Bridging the gap が1999年7月に出されて以降、イギリスNEETを巡る環境は変わりました。
イギリス政府でNEET問題を担当する 社会的排除防止局(Social Exclusion Unit)は、このことについて、コネクションズ(Connexions) と 教育補助手当(EMA, Education Maintenance Allowances) という二つの政策面の変化を挙げています。
…ということを、先月16日の記事「イギリスNEET対策 Education Maintenance Allowances 1」でお話しました。今までEMAのお話をしてきましたので、今度はコネクションズ(Connexions)のお話に移ります。
イギリスのNEET対策というと、日本でよく取り上げられるのはこのコネクションズの方で、EMAは日本のメディアには不人気のようです。思うに、イギリスでNEETというと雇用問題だけでなく教育問題にも重心があるのに対し、日本の場合はもっぱら雇用問題が強調されているからかもしれません。
コネクションズの概要
コネクションズとはいったいどういうものなのでしょうか。イギリスの公式ウェブサイトの説明を見てみましょう。少し長い引用になります。
(http://www.connexions.gov.uk/partnerships/index.cfm?CategoryID=3)
* 以下引用 *
Connexions is the government's support service for all young people aged 13 to 19 in England.
Connexions brings together all the services and support young people need during their teenage years offering differentiated and integrated support to young people through Personal Advisers (PAs). For some young people this may be just for careers advice, for others it may involve more in-depth support to help identify barriers to learning and find solutions brokering access to more specialist support, eg drug abuse, sexual health and homelessness. PAs work in a range of settings including schools, colleges, one-stop shops community centres and on an out-reach basis.
Connexions is delivered through 47 local partnerships working to national planning guidance. The partnerships cover the same geographical areas as the Learning and Skills Councils . Delivery of the service is managed and monitored by Local Management Committees, which usually cover the same areas as local authorities.
The success of Connexions depends on the involvement of young people - listening to and taking account of their views in the design and delivery of Connexions is essential.
[ 富氏訳(訳の品質は保証しません) ]
コネクションズは、イングランドの全ての13〜19歳の若者に対するサポートサービスです。
コネクションズは、若者がティーンネイジャーである間に必要な全てのサービスとサポートをまとめたもので、差別化された、かつ統合的なサポートをパーソナルアドバイザー(PAs)を通じて提供します。一部の若者にとっては、これはキャリアへのアドバイスだけでよいかもしれせん。別の若者にとっては、学習する際の障害を確認する手助けをしたり、薬物乱用やセクシャルヘルス、ホームレスといった、より個別的なサポートに取り組むための仲立ちをすることによりその解決策を見つけたりといった、より地に足のついたサポートが含まれるかもしれません。パーソナルアドバイザーは、学校、大学、ワンストップショップ 注)のコミュニティーセンターといった一連の場面や出先機関を基盤に活動しています。
コネクションズは、全国的な指導計画に基づいて47の地方のパートナーシップを通じて提供されています。そのパートナーシップは、学習技能評議会(Learning and Skills Councils, LSC)と同じ地理上の区域にわたるものです。サービスの提供は、地方自治体と同じ地域を常にカバーしている地方経営委員会(Local Management Committees)で経営、監視されます。
コネクションズの成功は、若者の参加にかかっています。−コネクションズの計画や実施の視点に耳を傾け、注意を払うことが、極めて重要です。
* 引用終わり *
注)ワンストップ(one-stop)とは、『リーダーズ英和辞典』によると、「1か所で何でも買える[間に合う]」という意味で、"one-stop shopping"などと使われます。
コネクションズのキーワードは、「イングランドの全ての13〜19歳の若者に対するサポートサービス」、「パーソナルアドバイザー」、「47の地方のパートナーシップ」あたりでしょうか。
まとめると、パーソナルアドバイザーが、イングランドの47の地方で、13〜19歳の若者に対してNEETにならないように、あるいはNEETから抜け出せるように手助けしてあげるよ、といったところでしょうか。
薬物乱用やセクシャルヘルス、ホームレスといった問題が、NEETといったい何の関わりがあるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。イギリスのNEETには、こういった問題に巻き込まれているがために社会参加が阻まれている若者が多いのです。詳しくは、2005年12月6日の記事「イギリスのNEET 2 〜 Social Exclusion」をご覧ください。
なお、コネクション(Connexion)とは、日本語でも「コネ」などと言ったりしますが、関係とか結びつきとか言った意味です。
言い出しっぺは、英政府の報告書 Learning to Succeed と Bridging the gap
コネクションズが導入されるきっかけとなったのは、1998年7月に当時の教育雇用省(Secretary of State of Education and Employment)がまとめた The Learning Age (何て訳すんだ?)です。これは平たく言えば、生涯学習するとみんなはっぴー♪になるから、政府は学習を促進しますよ、ということを書いたものです。
これを受けて、教育雇用省は1999年6月、 Learning to Succeed--a new framework for post-16 learning (『学習で成功へ−16歳以降の学習のための新たな枠組み』)をまとめました。この報告書は、16歳以降の人々が学習により参加するには今の制度では問題があるから、それを変えましょうと言っています。その具体策が、上述の引用の中でも出てきた「学習技能評議会」の設置であり、「コネクションズ」の導入なのです。「コネクションズ」が最初に登場したのは、この Learning to Succeed です。
この Learning to Succeed と歩調を合わせるような形で、1ヶ月後の1999年8月、 Bridging the gap がNEET対策としてコネクションズについて言及しています。
これらの白書を読んでいますと、雇用そのものよりもむしろ学習に重点が置かれていたようです。学習が雇用に結びつくという考え方もあったのでしょう。
いつも以上に長文になってしまいましたが、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
(来週に続く、予定)
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☆ イギリスNEET対策コネクションズ総論 2(完)
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