難しい人間心理の理解

緘黙: 五百頭病院特命ファイル (新潮文庫)今回は、本を読んだ感想です。精神科医の春日武彦氏によるフィクション『緘黙―五百頭病院特命ファイル―』(新潮文庫)です。

この小説の登場人物・新実克己(41)は、15年間一言も言葉を発さず、排泄と食事以外はただ仏壇の前で寝転んで過ごすだけです。卒中発作を起こして寝たきりになるなど、肉体的な問題が原因でもありません。また、私が姉妹サイトで取り上げている「緘黙症」とも違います。彼に、3人の精神科医が再び口を開かせようと試みるのが、この物語のあらすじです。

長期にわたって社会参加していない新実克己は、「ひきこもり」と言えないまでもありません。また、もう少し若ければ、「ニート」かもしれません。ただし、この物語では、そういう書かれ方はされていません。

新実克己が無言を続けていた原因は終盤に明らかになるのですが、その原因は全く思いもよらないもので、彼の心理は精神科医にすら解釈が困難なものでした。

私には、精神科医がこうした話を書いたことが興味深いです。きっと人間心理の理解に対して、謙虚な姿勢を持った方なのでしょう。また、人の心の理解の難しさについて考えさせられます。

* * * * * * * * * *

ひきこもりの原因は人それぞれで、しかも様々な要因が絡んでいる場合もあります。

中には、本人以外には思いもよらない心理でひきこもった人もいます。そもそも、ひきこもるという行動自体、そうでない人にとっては理解が難しいことかもしれません。

ですが、世の中には、相手のことをよくも知らないのに分かったような気になる人や、すぐに決めつけてしまう人がいます。相手のことをよく知ろうとしないで、「彼がひきこもったのは、こうだからだ」云々と断定してしまうのです。こういう傾向は、誤解のもとです。もっとも、特に本人以外には思いもよらないことでひきこもっている人の場合、これもある程度は仕方がないことだろうとは思います。

人の心の理解については、謙虚でありたいものです。自戒も込めて書きますが。

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