ニート人口の男女比率(厚労省定義)

厚生労働省は「労働経済の分析」の中で、ニート(厳密には若年無業者)を「15~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者」と定義し、その数を推計しています(厚労省, 2012)。推計されたニート人口はここ数年60万人前後で推移していますが、この数字はしばしば引用されています。

ですが、このように統計上ニートとされる若者は、実際のところどのような層なのだろうかと私はよく考えています。この手がかりを探ろうと、ニート人口の月別推移を調べたことがあります。「ニートは3月に急増?」「続・ニートは3月に急増?

今回は、ニート人口の男女比率を調べてみました。

■ 方法

ニートを「15~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者」と定義し、総務省「労働力調査」をもとに、年平均で推計しました。これは、厚労省のニート人口の推計と同じ方法です。

■ 結果

◇ ニート人口(男)

15~19歳20~24歳25~29歳30~34歳
2010年6101111
2009年6101212
2008年6101212
2007年5101211
2006年6101212

◇ ニート人口(女)

15~19歳20~24歳25~29歳30~34歳
2010年4676
2009年4676
2008年4667
2007年4677
2006年4666

※ いずれも、単位は万人。

■ 考察

男性の方が多いです。年齢層が上がるほどこの傾向が強くなります。

ニート人口の推計には、かつて厚労省とは別に、内閣府によるものもありました。この調査によると、15~34歳のニート人口は1992年で男性335.5千人、女性342.8千人、1997年で男性344.7千人、女性371.8千人、2002年で男性410.2千人、女性437.2千人でした(玄田, 2004)。内閣府調査だと、ニート人口に男女差はさほどありません。

内閣府の調査は就業構造基本調査が元で、ニートの定義に配偶者を含めず、一方で家事をしていることを理由に収入になる仕事をしていない人を含めているという違いがあります。内閣府の調査に携わった玄田有史氏は、「ニート及びその支援組織についてインタビュー調査を行うと、仕事をしていない現状を『家事』若しくは『家の手伝い』をしていると表現する若年無業者は、女性について少なくない」と述べています。厚労省のニート人口推計には家事従事者が除かれているため、こうした女性も除かれており、それがおそらく厚労省調査では男女のニート人口に差がある一因ではないかと思います。

次回は、男女別ニート人口に家事従事者を含めるとどうなるか、書こうかどうか考えているところです。もっとも、これだと、専業主婦(主夫)も含まれることになるので悩んでいるところです。

[文献]

◇ 玄田有史(2004)「若年無業者の実情」『青少年の就労に関する研究調査』4-26ページ。 http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/shurou/shurou.html
◇ 厚生労働省(2012)「平成24年版労働経済の分析-分厚い中間層の復活に向けた課題-」 http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/12/

[訂正]

誤字があったので、訂正しました。「家事をしていることを理由に収入をしていない」→「家事をしていることを理由に収入になる仕事をしていない」(2012年9月20日)

スポンサーリンク

トラックバック

URL :

最近の記事
カテゴリー
カレンダー(月別)
05 ≪│2017/06│≫ 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
RSSフィード
本など
「ニート」って言うな! (光文社新書)

若年者就業の経済学
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
心と身体
137位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
9位
アクセスランキングを見る>>
リンク
このサイトについて

このサイトはリンクフリーです。張るのも剥がすのもご自由になさってください。相互リンクは現在募集しておりません。

携帯用アドレスを取得されたい方は、「こちら」をクリックしてください。

このブログのリンク先のご利用につきましては、ご自身の責任のもとでお願いします。なお、本等のリンクについては、Amazon.co.jpのアフィリエイトプログラムを導入しています。

なお、「富条」はハンドルネームです。本名は全く違う名前です。

メールは nhjournal77@yahoo.co.jp まで。